FC2ブログ

 

真夜中の占い館で散歩
オリジナル小説の公開です
http://delta66.blog3.fc2.com/

 

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 
 

ギャリー・トロット(30)



 麻季を助け起こしすと背を向けた。
「ついてこい」
 そう言ってと歩き始めた。麻季はその後を続く
「あなた、誰なんですか?」
 前を行く男に向かって尋ねた。しかし男は何も答えなかった。
「トルートたちの仲間?」
 構わず質問を続ける麻季。
「何故助けてくれたんですか?」
 男は立ち止まると、ようやく口を開いく。
「俺の事はどうでもいい。それから、お前の言う"トルート"とかいう奴の仲間じゃない。助けたのはそれが仕事だからだ。最後言うが、これ以上質問はするな。わかったか?」
 そう言い終わると再び背を向けた。まくしたてられた麻季は呆気にとられる。
「でも、名前くらい教えてくれてもさ……」
「何か、言ったか?」
 男は麻季を睨みつけた。声はこころなしか怒っているようだ。
「りょ、了解です」
 麻季は軽く敬礼のポーズをつくってみせる。当然、男は見ていないが。
 やがて光輝がいる部屋に辿り着いた。だがそこには先に向かった筈のアンジェラと隊員たちの姿が見当たらない。光輝の姿もだ。
「アンジェラさん?」
 麻季は呼びかけてみたが返事はない。
 前へ進もうとする麻季の前を男が制止させる。自動小銃を構えると先に歩み出した。
 注意深く部屋の中を進む男の前に突然、壁が崩れる。それと咄嗟に交わすとその先に小銃の銃口を向けた。だが先にはなにもない。壁の下地が見えるでけだ。麻季はその様子を固唾を飲んで見守った。
「襲われたのかもしれないな」
 部屋の壁には銃弾の跡がいくつもある。
「それでどこかに逃げたのね。でもどこに?」
「まあ、見当はつくが」
 その時、男の心臓ある場所に赤い光が当たる。麻季たちが来た通路の中からだ。
「動かないでもらおうか」
 暗い通路の中から出てきたのはアサルトライフルを構えたトルートだった。
「トルートさん!」
 麻季の顔がほころぶ。
「よう、麻季。元気かい?」
 トルートは片目をつぶって見せた。
「さてと……誰だ? お前」
 トルートはG36Eを構えたままゆっくりと進む。G36Eに取付いているレーザー照準器の赤い光は男から外さなかった。
 男の方もいつの間にか小型の軽機関銃をトルートに向けていた。
「知らなくていいだろ」
「そうはいかない。俺たち以外に、この"ナイトワールド"に来ているというのが、どうも気になるんでね」
「気にし過ぎだ。胃が痛くなるぜ」
 男の軽口にトルートは少し苛立つ。
「麻季をこちらに渡せ」
「そいつも断る」
 二人の間で麻季は戸惑った。どちらも自分を助けてくれた人間だ。
「その銃は"クリス"か。俺も実物は初めて見るぜ」
 TDIクリス・スーパーVは、銃弾を発射する際の反動が殆どない最新式の自動小銃だ。
「お前のスポンサーはずいぶん羽振りがいいみたいだな」
 男は、もう片方の手をコートから出す。その手には同じくもう一丁のTDIクリス・スーパーVが握られていた。
「勝ち目があると思ってるのか?」
 男は言った。
「銃が二つだからどうだってんだ。お前のその言葉、そのまま返すぜ」
 赤いレーザー光が男の額に当てられる。
「そこに防弾装備してないよな」
 男はニヤリと笑う。
「二人ともやめてよ! 何故私が必要なのか知らないけど、こんな事しないでください!」
 麻季は手を広げて二人の間に立つ。赤いレーザー光は麻季に当たった。
「どけ! 麻季! そいつは危険な奴だ」
「トルートさん! ダメよ! どちらかが死ぬなんて私は嫌!」
 こいつは、まったく……
 トルートは引き金から指を離す事はなかったが、意識は別の方法を模索し始めていた。
 次に麻季は男の方に向く。
「あなたもお願いだから、こんな事やめて。言う事は聞きますから」
 男は、しばらく構えを崩さなかったがやがて銃口を下げた。トルートが麻季を危険に晒さないと信じ、きっちり麻季を盾にして死角に入りこんだ後だが。
 トルートも麻季の行動に撃ち合いを諦め、G36Eの構えを解いた。
「俺は、トルート。ブラック・リバー社の者だ。お前の名は?」
 いつでも、狙撃準備に入れる様にアサルトライフルを半端に構えながらトルートは言った。
「ブラック・リバー……中東で稼いでいた民間軍事会社だな」
「まあな。さあ、俺は名乗った。次はお前の番だぜ?」
 強烈な意志で本気で撃つ合うつもりだった男がそれを取りやめたのだ。この男に敬意を表するべきだ。
 男はそう思うと口を開く。
「俺は、ブラック・ドッグ。ある事情で麻季を保護したい」
「ブラック・ドッグ? 墓場をうろつくあれか?」
「どうとってもらっても結構」
「どっちにしろロクな呼び名じゃないよな」
「トルートは、ロシア語で"黒"だ。本名を語れないのは何か疾しい事でもあるんじゃないのか?」
 再びふたりの間に緊張が走る。が、
「もう! ふたり共やめてよ! せっかく撃ち合いをやめたのに」
 一触即発のところで麻季が割って入る。
「わかってるよ、麻季。だがこいつにもうひとつ聞きたいんだ。いいだろ?」
「喧嘩はだめだからね」
 麻季は口を尖らしてトルートの方を見た。
「という事だ。撃ち合いはNG。だが答えによっては約束は反故だ。いいか?」
「構わない」
「じゃあ、質問だ。なぜ麻季を連れて行こうとするんだ? 」
 ブラックドッグは、観念した様に口を開いた。
「彼女は、この"アポフィス"を止める鍵だ」
「アポフィス? この建物の事か?」
「ああ、こいつは巨大な移動要塞で最悪の兵器なんだ。お前らを雇った企業もそれに気が付いていた。だが分かっていなかった事は、俺たち人間には制御などできないという事だ。制御できるのは、セトと呼ばれる知能プログラムだが、このセトって奴は人間が大嫌でね」
「それじゃ、そのセトってのが、アポフィスを動かして俺たちを殺すと?」
 ブラックドッグと名乗る頷いた。
「数千年間眠りつかせていたのをお前たちが起こしてしまったからな」
「ふん、そいつは悪かったな」
「そのセトを倒すには彼女の……麻季の力が必要なんだよ」
「そうなのか? 麻季」
 麻季は首を横に振った。
「知らないよ。そんなの」
「という事だ、BD。このティーンエイジャーには何もできないそうだ。さっきの話は、お前の妄想だ。このイカレ野郎」
「これを見ろ」
 ブラックドッグは、左手の軽機関銃を降ろすと袖をまくった。手首には麻季と同じ様に幾何学模様の痣があった。
「お前にもオシリスが見えているはずだ。麻季」
「オシリス? 何?」
「僕の事だよ。麻季」
 柱の横から光輝が現れた。

 
スポンサーサイト
 
 
 
Comment

Comment Form


秘密にする

Trackback

 

 

*Template By-MoMo.ka* Copyright © 2018 真夜中の占い館で散歩, all rights reserved.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。