真夜中の占い館で散歩
オリジナル小説の公開です
http://delta66.blog3.fc2.com/

 

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 
 

ガンダム戦記 白のプラトーン (38)

12、白のプラトーン



 戦闘は終わった。
 まだ建物は炎上しているものの抵抗するジオンの姿は、もはやない。
「……大体の詳細はわかった」
 アカギの話を聞き終わった連邦軍上級士官がメモを閉じた。
「ジオンの捕虜とスパイの疑いのあった情報部将校を拘束後、ジオンの襲撃にあったということだね」
「はい、何しろ少佐殿の言動が余りにも動揺していたものだったので真偽を図りかねていました。しかもジオンの足は速く、対応に追われた為、遺憾ではありましたがそのまま放置という形になった次第です」
「確かに多少の行き過ぎはあった気もするがギムリ少佐の言動には問題が多くてね。正直、うんざりしてるんだ。個
人的には目をつぶろうと思う」
 そう言って士官はにやりと笑う。 
「しかし、よくこれで持ちこたえたものだな」
 士官は半壊したジムを見上げた。
「連邦軍のモビルスーツも捨てたもんじゃないってことですよ」
「言えてる。だが君の腕もまずまずだ。もしかしたらニュータイプではないのか?」
「自分は地球生まれです。これだけやれたのも連中に人質奪取しようとして手加減があったからです。あの、ところで煙草お持ちではないでしょうか?」
「ああ、あるよ」
 気さくな士官から煙草を受け取ったアカギは火をつけた。
「それから、ジオンの捕虜だが、仕掛けた爆弾に巻き込まれて死亡……これで間違いないのかね」
「ええ、何しろ仕掛けた分量が多すぎたので。申し訳ありません」
「あの切迫した状況では仕方がないともいえるな。まっ、君らに大したお咎めはないだろう。追って連絡する。ご苦労
だった少尉」
 そう言って士官は敬礼をした。アカギも煙草を取ると敬礼を返した。別れ際に煙草のボックスを放り投げてきた。
「"ア・バオ・ア・クー"が落ちたそうだ。勝利の祝いだ。そいつはやるよ」
 再び敬礼をするアカギ。
「ありがとうございます」
 毛布に包まりながら真横を疲れ切った顔でミデアに乗り込むギムリ少佐の姿が見えた。アカギに気がついたギムリは毛布を放り投げて飛んできた。
「き、きさま! あのジオンの捕虜は!」
 アカギは炎を指差した。
「爆発に巻き込まれて…残念です」
 がっくりとうなだれるギムリ。
「そんなに落ち込まなくても。たかがジオンでしょ?」
 ギムリはアカギの胸倉を掴み顔を近づける。
「お前にはそうでもなぁ! あの娘は…あの娘は…重要な機密の……」
 そう言いかけたギムリの表情が突然変わる。
「どうしたんですか? 少尉」
 アカギの背後からバンザ軍曹が姿を現した。
「うっ……お前は」
 ギムリの苦手な男だった。アカギから手を放したギムリはぶつぶつ文句を言いながらその場を離れていった。
 それを見送る二人。
「うっとうしい奴ですね」
「ああ、でもあんなのはどこにでもいるもんさ」
「おれの近くにいたらぶっ飛ばしてやるとこでしょう」
 アカギは笑いながらバンザの肩を叩いた。
「さあ、いきましょうか。皆が待ってる」
 バンザはトラックを指差した。
 荷台に乗り込んでいるのは501補給部隊の面々だ。
「少尉! 早くずらかりましょう!」
 ジュノが声を上げて手を振っている。
 アカギは荷台に乗り込んだ。
 奥には軍帽を深々と被った見慣れない連邦軍士官がいた。中尉の階級章をしている。
 その横にアカギは腰を下ろした。
「出発するぜ!」
 運転席のウォーターが大声を張り上げるとアクセルを踏んだ。助手席ではニックがいびきをかいて寝ている。
 トラックはメチャメチャになった基地のゲートから出て行った。


「そういえば、お前、何で連邦にさらわれてジオン追われてたんだ?」
 アカギは隣にいた士官に尋ねた。
「うーん……わかんない」
 士官は窮屈そうな帽子を取った。赤みがかった柔らかい髪が広がっていく。
「まあまあ、そんなことはいいじゃないですか。こうして助かったんだしまずは乾杯しましょうよ! 考えてみれば新年っすよ!」
 そう言ってジュノはビールの缶をふたりに渡した。
「おい! みんな聞けよ!」
 運転席から声がした。
「なんだよぉ、お前も飲みたいの?」
「うるせえ! ジュノ。黙って聞けよ!」
 ラジオのボリュームが上げられ何かが聞こえてきた。

『月面グラナダにおいて極秘に開かれた連邦政府とジオンとの協議は終戦協定であると発表されました。戦
争は終ったのです! 尚、ジオン公国は共和制に移行、ジオン共和国として……』

 歓声が上がった。
「やれやれ、ようやく戦争も終わりか……」
 一緒に乗り込んでいたパパが言った。
「これで商売に専念できるってもんだ。だろ? アカギ」
 皆はアカギの顔を見た。
「そうだな。でも、おれは今日で除隊だ」
「まじっすか? 少尉! おれも除隊しますよ」
「なんでお前もなんだよ」
「いいじゃないっすか! ついてきますよ!」
「なんだか楽しそうだね」
 隣に座るセレナが笑顔でそう言った。
「ねっ! 皆で何か始めましょうよ。貯め込んだ金もあるし」
「輸送業はどうだ。パイロットはいるぜ」
 マッカラムが口を挟む。
「商売をするならわしに聞け」
 トラックは未舗装の道を街に向かって走っていく。
「そらよ!」
 荷台から放り投げられた連邦の帽子が風に舞っていた。



 「白のプラトーン」おわり


スポンサーサイト
 
 
 
Comment

Comment Form


秘密にする

Trackback

 

 

*Template By-MoMo.ka* Copyright © 2017 真夜中の占い館で散歩, all rights reserved.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。