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真夜中の占い館で散歩
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ガンダム戦記 白のプラトーン (33)


「狙撃手、撃てるか?」
 グラーフはヘルメットの位置を直すふりをして伏兵として展開してた狙撃兵に通信をいれた。
『できません。ジムのシールドと腕の死角になってます』
 死角に入り込んでいる……偶然なのか? それとも意図的なのか?
 グラーフはセレナにハンドガンを突きつけるアカギを睨みつけた。
「上手くいくかしら」
 セレナは不安げにアカギを横目で見た。
「わからない……けど、連中の動きは止まっている…なんとかなるかも」
 しばらく間をおいた周囲に変化が起きた。
 取り囲むザクが後退し始めたのだ。
 それに気付いたアカギはコクピットの奥に戻るとモニターを覗き込んだ。ジムの周りのザクの光点は少しずつ移動している。
「アカギ」
 セレナも外の様子に気がついた。
「うん……」
 アカギはモニターの光点の動きを注意深く見つめた。要求どおりの事をしようとしているのか、それとも戦術的展開なのか、アカギはその見極めに迷っていた。

 素直すぎるような気もするが……

 正面を見るとグラーフのグフだけはその場を動こうとしない。
『あんたも下がれよ』
 スピーカー越しのアカギの要求にグラーフは肩をすくめた。
『そいつはだめだな。お前が我々を信用してないのと同様我々も貴様を信用していないんだ』
『俺たちを見逃せばいい。それだけだ。そうすれば彼女は引き渡す』
『それが条件か?』
『ああ。だが俺だけじゃないぞ。基地に生き残っている部下たちも見逃してくれ』
 再び沈黙してグラーフは少し間をおいてから切り出した。
『承知した』
 アカギはため息をついた。
『要求の受諾に感謝する。グラーフ中佐』
『我々も無駄に消耗したくないのでな』
『ではまずミノフの散布を中止して部隊を遠ざけろ。ジムのレーダーにより遠くに。残っていいのは、あんたとそのグフだけだ』
『わかった……』
 とはいったものの、このグフの存在が問題ではあった。
『わかった。部下にはそう命令する』
 アカギは用心深くジムのハッチを閉めた。
「うまくいきそうだね、アカギ」
 セレナがうれしそうにそう言ったがアカギの表情はまだ硬かった。
「絶対おかしい……何かやる気だよ」
「え? でもあの人、約束を……」
「セレナがまだ知らないタイプの人間ってのはいるんだよ。彼もその一人なのさ」
 セレナはズームアップされたグフのコクピットを見つめた。
「う…ん、でもそんなに悪そうな人には見えない」
 彼女がジオンの人間であるが為の視点で言っているのか根っからのお人好しだからなのかアカギにはわからなくなっていた。彼女の言うとおり敵にも"いい人"はいるだろう。よき隣人になれる人間もいるかもしれない。しかし、国家間が戦争している以上、いくら"いい人"でも戦場では危険な"敵"でしかないのだ。



 グラーフはヒートロッドのスイッチを切らなかった。チャンスがあればいつでも至近距離のロッド攻撃を仕掛ける気だった。
 これさえ決まれば連邦のモビルスーツはその電子装置を焼き切られ機能を停止させる。核融合炉の爆発も起こす危険もない。後は周囲に隠している歩兵隊に機能を停止したMSを制圧させ"彼女"を確保させればい。今よりずっと楽な状況になるだろう。"彼女"を取り戻したら、残った連邦の兵士どもな皆殺しだ。皆殺しにできなくても殺せるだけ殺してやる。
 そのチャンスをグラーフはじっと待っていた。

 じっと……



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