真夜中の占い館で散歩
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人魚姫救出大作戦!⑤

「娘を連れ戻したい?」
 王様は水槽の中で頷いた。
「実は、どこぞの若い男に入れ上げて陸に上がってそれっきりで」
 王様は怒ったのか、水槽の中で手に持った三又の槍を叩きつけた。
「お、落ち着いて、王様。ね?」
「はっ! これはお見苦しい所をお見せした。
 打って変って謙虚になる王様は三又の槍を叩きつけるのをやめた。
「それって駆け落ち?」
「いや、娘の一方的らしく。軽くストーカー状態で」
「それはやばいわね。様は変なマスクを被らないと陸では動きまわれないんでしょ? 娘さんもあんな格好でストーカーを?」
「いや、あんな格好でストーカーしてたらすぐ捕まっちゃうでしょ。その辺はウチの娘は常識あるので」
「常識ねぇ」
「実は裏技を使いまして陸の上でも生活できるようにしたのです。そこが問題なんですけど」
「裏技?」
「海の魔女シーハッグの魔法で人間の足をもらったらしいのです。今頃、陸でも生活できる身体になってるはずです」
「海の魔女。聞いたことあるわね。あんまりいい噂じゃないけど」
「そのとおり。そんな奴の魔法を使って娘が陸に上がったなんて、私も気が気じゃありません」
「その後の足取りは?」
「陸の情報はさすがに入りにくく、行方しれず」
「なら、まずは海の魔女に行方を聞いた方がいいわね」
「私もそう思いましたが……」
「どうしたの?」
「いや、ちょっと怖くて」
「あんた王様でしょ!」
「王様でも怖いものは怖いんですよ!」
「手に持った三又の槍は飾りかい!」
「そうです!」
 王様はきっぱり言った。
「さっきは振り回してたのに」
 キーラは頭を押さえる。
「娘さんが出ていくのがなんかわかるわ……」
「そう言わずに助けてください。私には娘が全てなんです」
「そうは言うけどね……」
「タダとは言いません。娘を連れ戻してくださったら海のリゾートへ1カ月ご招待。ホテル代は私どもが持ちます」
「海のリゾート?」
「エステもありますよー」
 キーラの頭の中に優雅に浜辺で寝そべる自分の姿が浮かんでいた。
「し、しかたないわね。これも人助け……いや人魚助け」
「ありがとうございます!」
「じゃあ、まずは海の魔女の所に行きましょうか」
「良い考えと思いますが、私どもは海の中でも呼吸ができますけど、あなた様は陸のお人。一体どうやって?」
「心配ないわ」


 ここはクラブ・ベーリングの外の浜辺
 キーラと王様とお供のカニ騎士がクラブを抜け出し集まっていた。
「魔法使い様、何をするんですエビ?」
 エビ騎士が不思議そうに小首を傾げる。
「いいから、いいから」
 キーラはそう言うと呪文を唱え始めた。
「水の精霊たちよ。汝らの世界に我を導け! アブロスタリア、キブロスタリア」
 目の前の海辺から水柱が上がったかと思うと何か巨大な物が現れた。
「こ、これは」
 目を丸くする王様たち。
「これなら深海くらいへっちゃらでしょ」
 目の前に現れたのは巨大な……巨大な……
潜水艦?」
 王様は首を傾げた。
「そうでーす!」
「あの……これファンタジーなお話ですよね」
「頭が固いわね。そんな人にファンタジーを語る資格はないわ! もっと柔軟に考えなさい!」
「いや、これに乗り込む私たちの方がファンタジーの登場人物失格の気がしますけど」
「つべこべ言わずに出発するわよ!」
 そう言いながら全員潜水艦に乗り込んだ。
「潜航開始!」
「アイサーエビ」
 いつの間にか乗り込んだカニ騎士が操縦席に座り装置を操作していた。
「(これでよかったのだろうか……)」
 潜航を開始する巨大な潜水艦の中でそうひとり思う王様だった。
「(これは楽でいいエビ♪)」
 そう思いながら潜水艦の操縦を楽しむカニ騎士。
「(ふふふ、この夏は南の島でリゾート三昧ね)」
 そんな事を考え、ふと顔がほころぶキーラ。
 様々な思いを胸にキーラたちは海の魔女の元を目指し海底深く沈んでいくのであった。


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