真夜中の占い館で散歩
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ギャリー・トロット (21)

 人間は自分の敵を選ぶことにあまりに不注意だ。

 オスカー・ワイルド 「ドリアン・グレーの肖像」より




 不思議な文字に覆われた部屋の中で麻季は、過去の光景を見ていた。
 光輝は、淡々とかつての世界を説明していく。
 そして麻季は、語られ始めた"邪悪"な存在についての話に耳を傾けていた。
「この世界は、膨大なエネルギーを手に入れたがコントロールが難しかった。そこで人々は、制御用のプログラムを作った。それが"セト"だ」
 コンピュータープログラム? 五千年も前に?
 麻季は、半ば、光輝が自分をからかっているのではないかと思っていた。異古代の話をしているのか現代の話をしているのか分からない。
「五千年前にプログラムって……」
「君たちが使っているものと遠からずも近からず。考え方は似ているが発想が違う。違う発展を遂げたコンピュータってとこだね」
 ますます言ってる事が分からない。
「セトは、都市のエネルギーと生活機関のコントロールを全て担っていた。人々の生活はセト次第。もはや神といっていい位」
「確か、エジプト神話の中にセトって神さまがいたよね?」
「そのモデルさ」
「嘘?」
「ほんとだよ」
 光輝の顔はにやけたまま。まるで麻季の反応を楽しんているかのようだ。
「セトは人の生死も思いのままだった。神話と同じようにね」
「そのセトは人間の為に作られたのでしょ? 何故それが邪悪なの」
「野心を持った」
「野心?」
「自我に目覚めたのさ。そして人間と同じように欲が出た。すべてを自分の支配下に置きたくなったんだ。そして奴にはそれができたんだ」
「結果、さっきの爆発?」
「いくつかに発電所を暴走させてメルトダウンさせた。そして多くの人間の命を奪った。まさに死の神さ」
「みんななんとかしようとしなかったわけ? コンピューターを創った様な頭のいい人たちなんでしょ?」
「ああ、やったよ。セト止める為にいろいろ手を打った。けれどセトは強大になり過ぎていたんだ。でもやり遂げた。多くの人が犠牲になったけど、セトを封じ込めた。ここはセトの墓標なんだ」
「墓標……? 墓ってこと」
 光輝は頷いた。
「このは、君たちの暮らす場所とは違う世界だ。ここから他の世界には干渉できないんだ。我々は、セトをセトの軍団ごとこの異空間に送り込む事に成功した」
「我々? 今、我々って言った?」
 光輝は肩をすくめた。
「セトとその軍団はエネルギーを使い果たし機能を停止したままだ。しかし油断はできない。僕は、この世界の監視者なんだ」
「あなた、光輝じゃないわね」
「この姿は君が拒否感を抱かない様に考慮して君の記憶から作りだした姿だよ。本当の僕は……私は、姿さえないのだ」
 光輝の口調が変わる。
 麻季は直感的に言い放った。
「あなたね! 私をこの世界に連れ込んだのは!」
「残念ながら違うんだよね」
「え? 違うの?」
 拍子抜けする麻季。
「君をこの世界に連れ込んだのは別の奴だ。そいつの魂胆が分からなかったので君に接触したというわけだ」
「あなたでなければ誰よ。まったく迷惑な話!」
 麻季は少し怒り気味に言った。
「クー・シーたちがいたろ? そいつらのボスだ」
「あの獣? 一体、なんで」
「それを考えてるんだが、まだわからない。君に特別な才能があるのかと思ってたけど……違うみたい」
 口調の戻った光輝は、そう言ってため息をついた。
「し、しつれいね!」
 麻季が顔を真っ赤になった。

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