真夜中の占い館で散歩
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ガンダム戦記 白のプラトーン ⑫

 2稿目


 娯楽室では兵士たちがそれぞれ時間をつぶしていた。ある者は雑誌を。あるものはビデオの鑑賞を。ある者はカードでギャンブルを。そのひとつにテレビに接続されたビデオゲーム機に興じる兵士たちがいた。その前に小柄な兵士が近づいた。
「おい! ウォーター、ニック! お前らもういいだろ。そろそろ替われよ」
 ビデオゲームを続ける厳つい男二人が鬱陶しげに振り向く。
「うるせえ、ジュノ。どこかへ失せな」
 吠える二人の兵士に向かってジュノは人差し指を横に振った。
「おい、こら。今からそこは上官がご使用になる。君たちは早急に撤収したまえ」
「なに言ってんだ? オメー」
「上官ってアカギ少尉か?」
「違う、もっと上の方だ。中尉だぞ!」
 ウォーターとニックは顔を見合わせた。
「中尉? そんなのこの基地にいたか?」
「着たばかりなんだ。長旅で退屈しておられて遊びに興じたいとご所望だ。さっさと退けってんだよ」
 ジュノはテレビの前のウォーターとニックをどけた。
「いいですよ! 中尉、来い・・・いや、来てください」
 ジュノの呼び声に一人の連邦軍士官が入って来た。
 その姿に娯楽室が一瞬で静まり返った。
 赤みがかった柔らかそうな髪が歩く度になびく。その整った顔立ちに士官の厳しさはどこにも感じられなかった。温和そうな表情は、美しく見る者の心を和ませた。
 ビリヤードをしていた兵士などは見とれてカラーボールの方をキュウで打ってしまう始末だ。ある者はコーヒーカップを口につけたまま美しい士官に見入っていた。ウォーターとニックも、慌てて、その女性連邦軍士官に道を開けた。
「ありがとう」
 セレナは、微笑みながら礼を言った。
「いえ! どうぞ、お座りください! 中尉!」
 弛みきった生活をしていたウォーターだったが久しぶりに兵隊らしい態度をとった自分に少々驚いた。
「ジュノ。彼らが先に楽しんでたのに、いいのかしら?」
 セレナが小声でそう言ったがジュノは全く気にしていなさそうだ。
「いいの、いいの。あいつら、いつもやってんだから。それより俺と対戦しようぜ。連邦対ジオンだ!」
 ジュノがスタートボタンをしてゲームを開始した。
 説明を受けながらゲームを始めだすといつのまにか他の兵士たちが集まってきていた。
「おい! ジュノ! 中尉殿に手加減してやれよ!」
「そうだぜ。お前は慣れてんだ。ハンデをつけなきゃ不公平だぞ」
 周りから野次が飛ぶ。
「うるせえな! 好きにさせろよ」
 ジュノが文句を言ったが周りの兵士たちはお構いなしだ。
「中尉、このジュノって奴は時々、こすっからい作戦をしてきますんで気をつけてください」
「誰だ! 今言ったの!」ジュノが怒鳴る。
「ちょっと慣れれば中尉ならこんなジュノなんかすぐ負かしちまいますよ」
「ああ、そうだぜ」
 野次馬たちは皆、セレナの味方のようだ。
「てめえら! 勝手な事ばっかり言いやがって」
「おい! ジュノ! こちらの中尉殿のお名前は?」
「え? 名前」
「そうだ! お名前を教えてくださいよ! 中尉」
 そういえばジュノはまだセレナに名前も聞いていなかった。
「私は、セレナ……セレナ・パマス」


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