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真夜中の占い館で散歩
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ガンダム戦記 白のプラトーン ⑤

4稿目


 太陽が真上に来る頃、気温は幾分上がっていた。
 モビルスーツRGM-79が先行して進む後を2台の4輪駆動車それとミデアから運び出した物資を大量に積み込んだトラックが続いていた。目指すのは彼らの本拠である地球連邦中央アジア方面軍第501補給基地だ。
「何する気だ?」
 突き出された注射器の針を見て救出されたミデア輸送機の乗員は言った。
「感染症の予防注射だ。心配するな」
 トラックの荷台に中で乗員たちに簡単な治療を行なっていた衛生兵はぶっきらぼうにそう言う。
「ここらには、たちの悪い菌が多いからな」
 衛生兵はさらにそう付け加える。
 生き残った乗員は7名。
 皆、軽症であったが衛生兵は、全員に感染症の予防だと言って全員に注射を打ってまわった。

 道のない悪路が終わり車道の後が残る道に出た。とはいえRGM-79ジムの作った足跡に入り込むとシャレにならないほど大揺れする。ドライバーは注意してジムの足跡を避けて運転した。
 やがて道の先に大きな施設が見えてくる。
 古代の城砦を改造したその場所は今では連邦軍の補給基地に生まれ変わっていた。頑丈そうな岩盤には石像のようなものが彫られている場所もあったが殆んどは破壊されているか近代的な外装を施していた。
 RGM-79ジムと4輪駆動車が近づくとゲートが開かれた。
 戦線がまだ近くにあった時はこの基地も昼夜も問わずフル稼働していたが戦線が移動した今は暇なものだった。連邦軍の進攻が順調ならば撤収もそう遠くない話だった。
 開かれたゲートを通るジムと車両部隊。後方の一台の中にはミデア輸送機から助け出したセレナ・パマスが乗っていた。
 セレナは車から外の景色をずっと眺めていた。彼女には、この城砦の所々に残る建造物の"古さ"が珍しくてたまらないのだ。コロニーではどんなに古い建造物も50年がいいところだった。しかし目の前にあるものは軽くその10倍以上は昔のものだろう。その荘厳さを感じたセレナは感激していた。
 子供の様に目を輝かせながら外を眺めるジオン軍の人間に隣に座っていた連邦軍兵士は、呆れて肩を竦める。
 ゲートの中には数台のトラックが停まっていた。現地の民間人らしい人間たちが荷物の積み込みをしている。
 セレナが、何気にそれを見つめていると白いモビルスーツがその場所で停止した。しばらくするとコクピットから見覚えのある人間が降りてきた。

 あの人だ。

 それは自分をかばってくれた連邦軍士官だった。
 セレナは、彼を目で追った。すると現地人の現地人が数人彼に近づいき、親しげに手を挙げていた。
「よう、アカギ」
「繁盛してるようだな、パパ」
「ふふん、あんたのおかげさ」
 そう言って男はアカギに札束を渡した。アカギはそれを受け取ると少し離れた場所にいる部下の方を見た。
「ジュノ!」
 アカギがそう呼ぶと小柄な東洋系の兵士が小走りでやってきた。
「お帰りなさい、少尉。大漁ですね。すごいや」
「ああ、こいつを数えとけ」
「はい、お任せを。少尉」
 アカギは小柄な男に札束を渡した後、パパと呼んだ現地人の男の方を見た。
「ところでパパ、例の頼んどいたものは見つかったかい?」
「ああ、いい場所があるにはあるんだが、あんたの希望より少々狭いんだ」
「他に目星は?」
「探してるんだが中々ね」
「希望のスペースより狭くても構わない。そんなのを後、二、三ヶ所見つけといてくれよ」
「急いでいるみたいだな」
「まあな。最近、入ってきた情報だと、ジオンの宇宙要塞"ソロモン"は陥落したって話だ。ジオンに残ってるのはサイド3を後ろに控えた宇宙要塞"ア・バオ・ア・クー"だが連邦軍がそこまでいけば戦争も仕舞だろ。商売もそれまでって事だ」
「むう……おいしい話もそれまでという事か」
 パパは、神妙な顔つきで黒い髭をさする。
「だが戦争継続の間はここは使用されるはずだ。それまでにできるだけ物資を集める。戦争が終わって世界中が再建を開始すればさらに物資は必要になってくるだろうさ。その時、十分捌けるように在庫しとくんだよ」
「今より儲かるかな」
「俺を信じろよ。戦争は終わっても、横流しのルートはなんとか残しておくつもりだ。俺と組んでればもっと稼がせてやる」
 そう言ってアカギはパパの肩を叩いた。パパはニヤリと笑う。
「期待してるぜ、アカギ」
 二人の話が済んだ頃、金を数え終わった小柄な兵士が立ちあがった。
「約束の金額あります! 少尉」
「正直だな。パパ」
 パパは肩をすくめた。
 アカギは札束から幾らか引き抜くとババに渡した。
「これは?」
 アカギはトラックから下ろされる怪我人たちを指差した。
「連中を手当てしてやってほしい。その代金だ」
「重症なのか?」
「いいや。だが連中は"部外者"だ。ここ置いて余計なことは知られたくない」
 パパはにやりとした。
「なるほど」
 そう話でいる時、大柄な浅黒い兵士が傍にやってきた。アカギの腹心であるバンザ軍曹だ。
「やあ、バンザ。元気かい?」
 バンザは先にアカギに敬礼した後、パパに笑いかけた。
「ああ、まあまあさ。あんたは? パパ」
「変わり映えないね。でもそれは良いことさ」
「マンネリがか?」
「仮に今、ツイているとしたら必ず後でその分ツキが落ちる。逆もまた然りだ。いつでも同じってのが一番いいのさ」
「そんなものかね」
 バンザはパパの話を聞いて肩をすくめた。
「で、何んだ? 軍曹」
「失礼しました、中尉。救出した乗員の事です」
「手はず通りしてるな」
「はい、連中はパイロットも含め7名。感染症の予防だとかなんとか理由をつけて全員にモルヒネを打ちました。ラリっていて、今は、ここの事もよくわかっとらんでしょう」
「結構」
 アカギはにやりと笑った。
「俺たちの方で始末するか?」
パパがそう口を挟んだ。
「いや、それはしなくていい。怪我が治ったら俺たちが適当なとこで本隊へ戻す。わかってると思うが余計な事は知らせるな」
「わかってるさ。商売に差し支えるからな。それじゃあ、荷はいただいてくぜ。また頼む」
 パパはアカギと握手を交わすと乗ってきたトラックに戻っていった。
「とぼけた親父だぜ」
 バンザがパパを見送りながらそう言った。
「あれで、この辺の組織を仕切っているんだから驚きだよな」
「まったくです」
 上官の言葉にバンザは同意した。
「さてとお次は……」
 アカギは車に乗っているセレナを見やった。
「どうします? あのジオン兵」
 バンザが髪の毛の無い頭を掻きながらそう言った。
 アカギは、しばらく考えた後、口を開いた。
「とりあえず尋問だ」
 

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