真夜中の占い館で散歩
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ガンダム戦記 白のプラトーン ①

1、ミデア墜落

5稿目

 空は灰色の雲に覆われ光は地上にほとんど射していなかった。
 1年近く前、北米に落下したスペースコロニーは衝突後、粉塵を大気圏まで押し上げた。その影響は、未だに続いている。
 気象状況も゛コロニー落とし゛が実行される以前より格段に悪くなっていた。
 宇宙を拠点とする人アースノイドは、それを゛天の裁き゛と呼び、地球に住む人々は゛悪魔の所業゛と呼んだ。


 宇宙暦0079 12月
 山に近い雲を突き破り一機の連邦軍輸送機"ミデア"が降下していった。
 パイロットたちの目に白い雪と灰色の地肌の入り混じった山岳帯が広がる。
「しつこいジオンめ!」
 地球連邦軍輸送機"ミデア"の機長が吐き捨てるように言った。
 後方にはジオンの主力戦闘機ドップがぴったりと追尾している。数十分前からずっとこの状態だ。
 時折、機銃による射撃を行なってくるが、近距離であったにも関わらず、なぜか一発も命中していなかった。
 幸運なのか意図的なのか、その攻撃の度にミデア乗員たちは、肝を冷やしていた。
「あいつ、遊んでるんですかね?」
 副操縦士が不安げにそう言った。
「どうかな。だが舐められているのは間違いない」
 ミデア輸送機が機体を水平に戻そうとした時、突然、正面の暗雲から別のドップが飛び出て進路を妨害する。
「こ、このやろう!」
 接触を避けようとミデアの機長が必死で急速旋回を行ない機内が大きく揺れる。
「クレイジーな奴め! ぶつける気かよ」
 空中衝突を避けようとしたミデア輸送機は進路を変えたが、そのコースは、威嚇のはずだった銃弾の弾道と重なってしまう。ミデアの左翼エンジンに銃弾が命中した。破片が空中に飛び散る!
「くそっ! やりやがった! 自動消火装置を」
「了解!」
 指示を出す機長のマッカラムの言葉に副操縦士が素早く反応する。
 エンジンの火はすぐに消えたが入れ替わりに深刻な問題が起きていた。ミデア輸送機の不恰好な機体と重量を維持できないところまでパワーはダウンしていたのだ。
「まずいな」
「まずいって、今、まずいって言いました? 中尉」
「気にするな。それより通信はどうか?」
「アウトです。この地域はミノフスキー粒子が馬鹿みたいに高くなってやがる」
 この戦争に実践された電波障害を起こす特殊な粒子は発見者の名前をとってミノフスキー粒子と名付けられていた。ミノフスキー粒子を戦術に活用したジオン公国軍がこの戦争の緒戦においてかなりの戦果を上げる事になったが、同時に自らも誘導兵器を使用できないという矛盾を生じさせた。戦場のいたるところに粒子は散布され各地でその特性を発揮させている。
 そして、この地域もこの厄介な粒子が残留している場所らしかった。
「通信ができないなら援軍は期待できんな」
「そ、そんなぁ…」
 機長の言葉に心細い声で副操縦士が嘆く
「そんな弱気な声を出すな。呼びかけ続けろ」
「でもミノフが」
「あきらめるな! とにかく続けるんだよ」
 いつの間にか危険な山脈の間まで降下を強いられたミデアは無理な速度で飛行を続けるしかなかった。
「メーデー! メーデー! こちら第21輸送部隊。敵機の追撃を受け被弾! 降下を続けている! 至急救援を請う!」
 ミデアの高度がどんどん下がっていく。

 だめか……

 マッカラム機長がそう思った直後だった。山岳地帯を接触ぎりぎりで飛行するミデアに通信が入った。
『……左に切れ…左だ』
 パイロットたちは顔を見合わせた。
「こちら第21輸部隊! そちらは?」
 マッカラムは興奮気味に尋ねた。
『味方だ……早くしろ!』
 雑音の酷い通信の中、相手は強い口調で急かした。
「りょ、了解!」
 機長は、見知らぬ誰かの言葉通り、機体を左に強引に向けた。
 デザートカラーのミデア輸送機は機体を揺らしながら大きく左に旋回していく。
 後方につけていたドップのパイロットはその損傷した機体に不可をかけ過ぎる強引な行動に少し戸惑った。
 しかし、さらに彼を驚かしたのは正面の岩場に見えた"白いモノ"だった!
 
 モビルスーツ?

 ジオンのドップパイロットは直感的にそう思った。
 開戦から一年近くが過ぎていたが彼は自軍のモビルスーツしか目にしていなかった。彼が敵としてのモビルスーツを見るのは今日が初めてだ。
 パイロットが岩場に立つモビルスーツを確認しようと目を凝らした時だった。連邦の白いモビルスーツから何かが光って見えた。
 強力なビーム兵器が発射されたのだ!
 ドップのパイロットは旋回すべく操縦桿を握りなおしたがビームはミサイルより遥かに速い。避け切る間もなくドップは一撃で吹き飛ばされた!
 仲間が撃墜されたの見てビーム兵器の射程から外れようと寮機が慌てて上昇していく。
 白いモビルスーツは逃げる一機にゆっくりと狙いを定めていた。
「残念だったな」
 ロックオンした直後、パイロットはそう呟く。
 強力なビームが機体を吹き飛ばした!
 空に爆発が起きた後、ジオン公国軍戦闘機は地上に破片を散らばせていた。
 岩場の白いモビルスーツは上空を通り過ぎたミデア輸送機を見上げた。
 ドップの脅威が去った筈のミデア輸送機だったが危機は、まだ去っていなかった。
 被弾していたエンジンの一部が限界に達していたのだ。煙を再度、噴出し機体はさらに降下していく。
 異変に気付いた白いモビルスーツは高度を下げていくミデア輸送機の後を追った。

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