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真夜中の占い館で散歩
オリジナル小説の公開です
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ギャリー・トロット⑭

これまでのギャリー・トロットは…… 
 三井麻季はある日、パソコン上から奇妙なメッセージを受け取った。
 その瞬間、麻季は謎の異空間に飛ばされる。気がついた場所は不思議な遺跡の中だった。
 一方、カナダのデヴォン島である実験を行った一団も異空間にいた。
 遺跡を見つけ近づく一団は怪物クー・シーに追われる麻季を助ける。
 遺跡を調べる為に中に入った一団だったが周囲を怪物クー・シーに取り囲まれてしまう。

logoあさき03
三井麻季 / 好奇心旺盛な元気女子。異空間ナイトワールドに飛ばされたがその原因は不明
logoトルート04
トルート / ナイトワールドを調査にきた科学者の護衛チームのひとり。日本人らしい。



「隊長! 二時方向100M先に誰かいます!」
 遺跡の窓から群れに銃口を向けていたアーチャーはスコープ越しにクー・シーの群れの中に人影を見つけた。
「人だと?」
 スヴァローグは暗視装置付きの双眼鏡を取り出すとアーチャーの示す方向を見た。
 確かにアーチャーの言う通り人影が見えた。最初は小型のクー・シーかとも思ったが体型は人間だった。しかも群れの中において襲われるでもない。
 誰だ?
 すると人影はスヴァローグの視線を気付いたかのように身を隠した。
「くそっ! 逃げた」
 スヴァローグは直感で敵と感じていた。だが、距離が離れすぎている。おまけに間にはクー・シーの群れがいる。正体を掴むのは困難だ。
「どうします」
「あれは後でいい。今は目先の猛獣どもだ」

 クー・シーの群れは遺跡からの距離を狭めている。少しずつだが近づいているのだ。
 5.56ミリ弾でハチの巣になった何匹かのクー・シーが倒れて垣を作っているが、クー・シーはそれを気にしていない。知能が低くて危険が理解できないのか、群れの行動が自分の命より優先するのか。とにかくクー・シーの死を恐れない行動は非常に脅威だった。同時に範囲を狭めてきている。
 トルートはアフリカでの暴動鎮圧を思い出していた。
 暴徒の凶暴化で銃撃の状況になったのだがアドレナリンの噴出し、興奮状態になっていた暴徒にはM16の弾丸は効果が薄かった。弾丸が2、3発当たっても倒れはしなかったのだ。
 倒せない敵への恐怖感は今の状況によく似ている。
 隣の窓で射撃をしていたリーパーが群れの中に虎の子のクレネード弾を撃ち込んだ。
 爆発と共に数匹のクー・シーが吹き飛んでいたがクー・シーたちは進んでくるのを止めない。
「なんで、奴らは攻撃を止めない! これだけ殺してるんだぞ」
 マガジンの交換をしながらラッシュがぼやく。
「よほど、俺たちが嫌いなのさ」
 下の防御線に近づき過ぎるクー・シーを狙撃しながらトルートはそう答えた。
「はっ! 俺もあいつらは嫌いだ」
 装填を完了したラッシュが再び、狙撃を開始した。
 
 爆風の粉塵の中を一匹が紛れた。隊員たちはそいつを見逃した。
「くそ!」
 一匹は確実にリトルビーを狙っていた。
「うおっ!」
 リトルビーの上に黒い魔物が飛びかかった! 叫び声と共にリトルビーの姿が見えなくなった。
「ビー!」
 ベアがリトルビーのいた場所にいるクー・シーに銃口を向け引き金を引いた。M249の銃弾がクー・シーの身体を貫いた。

「ビーがやられた。防御線を下げる!」
 スティールは通信機でスヴァローグに伝えるとベアの肩を叩いた。
「下がるぞ、ベア」
 ベアは悔しがりながら支援機関銃を持て立ち上がった。
 スティールは落ちていたリトルビーのG36Cを素早く背負うとクー・シーの次の攻撃を警戒しながら遺跡の出入り口まで下がる。
 
「ビーがやられた」
 スヴァローグの顔つきが険しくなる。
「リーパー、下へ援護に迎え」
「了解」
 リーパーは防御していた窓から離れると1階へ向かう。

「何かあったの?」
 慌ただしさが増す遺跡の中に気がついた麻季はアンジェラに聞いてみた。
「誰かがやられたみたい」
 アンジェラはそう言いいながら落ち着きなく指を動かしていた。するとノートパソコンを下の置き立ち上がる。
「どうしたの?」
「隊長に話がある。少し待っていてね」
 そう言うとアンジェラはスヴァローグの方に向かった。
 麻季は膝を抱えたまま頭を下げる。
 この場から早く逃げ出したかったが外は怪物だらけだ。怪物を追い返す為にトルートたちが闘っていいるが状況は悪い気がする。
 麻季のの包帯を巻いた手首が熱くなっていた。
「また……」
 そう呟く顔を上げるとノートパソコンのディスプレイが目に入った。

 助けてやる

 画面にはそう文字が表示されていた。
「アンジェラさん?」
 スヴァローグの方に行ったアンジェラはなにやら話し込んでいる。
 再び画面に目を戻す。すると文字が続けて表示し始めた。

 信じろ

 誰かがリモートで打ちこんでいる?
 遺跡の内部を見渡したがそんな操作をしてる様子は誰もしていなかった。
 
 恐れるな

 文字が続けられる。
 とにかく様子を見ている誰かがメッセージを打ちこんでいるのは間違いなかったが意図が分からない。こんな状況で悪戯をするものなのか? 
「わかった……」
 麻季は相手に伝わるかどうかもわからずにそう呟き頷いた。驚いた事に反応はすぐあった。

 それでいい

 方法は分からないが相手は確かに自分を見ている。
 麻季はもう一度周囲を見渡してみた。

 闇の中を見て

 メッセージはそう告げた。
 さっきの化け物がいた闇を? 嘘でしょ?
 幻覚かもしれなかったがあの掴まれた腕の感触はまだ残っている。
 再びアレを見るかと思うと怖くなる。しかし、謎のメッセージはもう一度闇を見ろと言う。自分を信じろとも。
 麻季は勇気をだして顔を上げた。
 もう一度闇を見る為に。



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