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真夜中の占い館で散歩
オリジナル小説の公開です
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ギャリー・トロット⑪(改)

 古代から獣頭人身の伝説は多い。
 その多くが人間を超えた力を持ち人々から崇められてきた。
 だがキリスト教の台頭によりその存在の多くが神から悪魔へと変えられていく。
 人間の社会性が高度になっていく程、善悪が曖昧な多神教の獣頭人身の神々たちは悪の世界の存在になっていったのだ。
 そんな中にエジプトの神話に登場するのジャッカルの頭を持つ神アヌビスがいる。
 アヌビスは死者の魂を冥界に送ると言われ墓を守る者ともされていた。

 

 ギャリートロット11


 戦闘エージェント"カートドッグス"の隊員たちは遺跡の振動に気付いた 
「落ち着け! 大した揺れじゃない」
 スヴァローグは隊員を落ち着かせた。
 石材をくり抜いた窓から外の様子を窺うリトルビーは暗闇の中に蠢く何かに気が付いていた。
「外に何かいる」
 スヴァローグは窓の方に行くと暗視ゴーグルを被り外の様子を見る。淡い月の光は地面に動く何かを照らしていた。僅か光源は電子装置により増幅され、蠢く何かの正体を映し出す。それは怪物クー・シーの大群だった。
「くそっ! クー・シーだ」
 スヴァローグの拳が握り締められる。
 迂闊だった。
 スヴァローグの後悔をよそにクー・シーたちは速やかに遺跡を包囲していく。
「群れでかよ。なんてこった!」
 スナイパーライフルのスコープを覗きこんだアーチャーが呟く。
 他の隊員たちにも緊張が走る。
 スヴァローグは深呼吸した後、指示を出し始めた。
「よーし、みんな落ち着いて聞け! まずは対狼男装備だ」
 指揮官の指示と同時に隊員たちはライフル銃のマガジンの交換を始めた。
「何?」
 手早く赤いテーピングをしたマガジンの交換をするトルートの作業を珍しそうに覗きこむ麻季は尋ねた。  
「タングステンって特殊な材質の弾だ。あの怪物もこれなら退治できる」
「銀の弾?」
「銀弾?」
「狼男には銀の弾でしょ」
「そうだよな。まあ、こいつは銀弾ではないけど一発の値段は銀弾並みだ」
 トルートは銃弾を装填をし終えると麻季の背中を押した。
「部屋の奥にいけ。俺たちがなんとかする」
「でも……」
「信じろよ」
 そう言ってトルートは片目をつぶって見せた。
 麻季は頷くと言われた通り部屋の奥に行く。
 他の隊員たちも装填をし終えていく。それを見計らってスヴァローグが次の指示を出した。
「この状況では遺跡で迎え撃つのが得策だ。防御陣形をとるぞ。ベア、リトルビー、スティール、下に降りて出入り口を死守しろ」
 支援火器を構えたベアたちは素早く遺跡の一階に向かった。
「ラッシュ、お前は念の為、通路にトラップを仕掛けろ。もし入り口突破されたらそこで食いとめるんだ」
「了解!」
「他の者は開いてる窓から射撃。全ての窓につくんだ。防御に穴を開かすなよ、いいな!」
 米海兵隊出身者の多いカートドッグスの隊員たちから独特の掛け声がかかる。同時に隊員たちは各々窓から射撃位置についた。スヴァローグは今度は警護対象であるアンジェラに指示を出す。
「博士、あなたは部屋の奥へ」
「クー・シーに対抗できるの?」
「ええ、その為の我々です。さあ、行ってください」
 言葉は丁重だったがその顔は険しい。それが状況の厳しさを伝えていた。
 アンジェラが部屋の奥に行くとそこには既に麻季が壁に寄りかかっている。随分と怯えているようだ。無理もない。この少女が何故ここにいるのか分からないが不運な事だとアンジェラは思う。護衛の隊員たちも自分も危険を承知で会社と契約し、この"ナイトワールド"に来ているのだ。に対して彼女は自分の意思でここに来てはいないようだ。誰かの意思により自分の運命が左右されるなどとはアンジェラには考えたくもない事だった。
 うつむく麻季にアンジェラが寄り添う。
「大丈夫?」
「うん、ありがとう」
「心配しないくていい。彼らはプロなの。きっと何とかしてくれるわ」
「うん」
 その時、麻季はある事に気がついた。
 わたし、アンジェラさんの言ってる事が分かってる?


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