真夜中の占い館で散歩
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月夜の晩に君と踊ろう⑪

11、本当の答え
(5稿目)


「ブリリアン!」
 ジュエールは展覧場から飛び降りると若者に駆け寄った。
「ジュエールなのかい?」
 倒れそうになるブリリアンをジュエールは寸でのところで抱き止めた。
「しっかりして! ブリリアン」
 キーラは王様を指差した!
「王様、あなたはこの若者にこの"呪いのコート"を言葉巧みに着させましたね」
「な、なに証拠に」
 その時だ!
「証拠ならあるよ!」
 群衆の中から大きな声がした。
 多くの人が注目する中、立ち上がったのは、キーラの友だちで魔法使いのクリスタルだった。
「うちの店からそれ買ったでしょ」
 その言葉に王様の顔つきが変わる。
「証拠がここに……」
 クリスタルはそう言うとポケットから小さな紙切れを取り出した。
「領収書の控えがちゃんと残ってるわ! ほら!」
 クリスタルは小さな紙切れをひらひらさせてみせる。
「あっ……」
 それを見て固まる王様。
「あなたは、ジュエールと身分の低いこの若者の交際を認めなかった。そこで彼に狼の呪いをかけ、ブリリアンをライカン・スロープに変身させた! 全てはジュエールに会わせない為!」
「お父様、本当なのですか?」
 驚きの表情で王様を見るジュエール。
 椅子にぐったりと腰掛ける王様は顔を押さえた。
「けれど、彼には獣に姿を変えても愛する人への想いが残っていた。それがこのペンダント。ライカンになっても彼はこれを身につけていた。ジュエールもその事を無意識に感じ取り、ライカンを助けたのよ!」
 キーラはペンダントをかざした。
「王様! 愛し合う二人を無理に引き裂くことなど邪推にすぎません。人生経験の長いあなたからみればジュエールの行動はまだまだ危なっかしく思えるのかもしれない……でも、それに失敗したとしてもそれは彼女の人生じゃありませんか!」
「おおーぉぉ……」
「よく言った! ねーちゃん!」
「オメーの言うとおりだ!」
 キーラの訴えに群衆から賛同の歓声が湧く。
「え?(なんか注目されてる? 私)」

 すっかりテンションの下がった王様は静かに口を開いた。
「キーラ殿……たしかに、そなたの言うとおりだ。わしはジュエールがその若者と好き合うことが気に入らずに、その呪いのコートを買った。計画は上手くいっていた。だが獣になってもジュエールの事を忘れずに会いにくるのは誤算だったな」
 王様は、そう言ってがっくりとうなだれる。
「愛し合う者たちの仲を引き裂こうとするのは愚かなことだったかもしれぬな……許してくれ。ジュエール」
「父上……」
 怒りの言葉を吐き出そうとするジュエールを若者が止めた。
「お父上は、あなたを心配してこのような事をしたのです。俺も大変な思いをしましたが王様の気持ちを考えると決して憎いとは思い切れません」
「ブリリアン……」
 自分を諭すブリリアンを見つめるジュエール。
 傍に立つキーラはニヤリと笑う。
「いい奴ね、あんた。ジュエールが好きになるのが分かる気がするわ」
 若者は照れくさそうに前に垂れ下がった髪をかきあげた。
「あーっ! あんたはぁ!」
 その顔を見てキーラは目を丸くした。
「お久しぶりです。あなたは確か市場でぶつかった人ですよね?」
「あ……その、覚えてらしたなんて……ははは」
 キーラの目が点になった。
 それに気付いたジュエールが尋ねる。
「キーラ姉さまの"運命の人"ってもしかして……」
「ち、ちがうわよ。別の人よ、別! もっと背が高くて髪も長くて……」
 焦りながら誤魔化すキーラの複雑な胸の内を誰も知る者はいない。

 新しい恋を見つけてやるんだ!

 人知れずそう心に誓うキーラだった。








 そこは薄暗いクリスタルの店にの中。
 ずらりと並ぶ邪悪な呪いのアイテムの中にポットはいた。
「……お嬢様? もしや私をお忘れになってる事はございませんよね」
 怪しい品物の中に囲まれたポットは一人寂しく呟いていた。


 「月夜の晩に君と踊ろう」おわり



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