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真夜中の占い館で散歩
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月夜の晩に君と踊ろう⑧

8、目の前の事実
(4稿目)


 誰もいない廊下を見計らってジュエールは寝室に急いでいた。
 衛兵達は城に侵入したライカン騒ぎで誰もいない。ジュエールは寝室に飛び込むと慌てて扉を閉めた。そして扉に寄りかかりながら安堵の息を吐いたその時だった。
「一体、どういうこと?」
 部屋の奥の暗闇からいきなり声がした。
 はっとし声の方を見るジュエール。
 雲が流れ月の明かりが部屋の奥で椅子に座るキーラを照らしだした。
「キーラお姉さま。ライカンを追っていたのではなにのですか?」
 キーラは右手の人差指を横に振ってみせた。
「それは城の兵士さんたちに任せたわ」
 そう言って椅子から立ち上がった。キーラは今度は窓辺に寄りかかった。
「ところでジュエール。あんた、今までどこに行っていたの?」
 その言葉に焦るジュエール。
「城内が騒がしかったもので様子を見に……」
「分かってるのよ、ジュエール」
 キーラは窓辺から離れるとジュエールの目の前に立った。
「何のことです? キーラ姉さま」
「あんた、ライカンを逃がしたよね。自分を狙うライカンをさ。どういう事なの? 分けわかんないわ」
 キーラはそう言って肩をすくめる。
「そ、それは……」
 ジュエールは観念したように口を開いた。
「実は、これを見つけたんです」
 ジュエールはペンダントを見せた。
「何? それ」
 木に凝った彫り込みを施したものだがそれ程、高価にも見えない。
「それ、私が彫ったの。彼の為に」
 ジュエールはうつむきながらそう言った。
「彼へのプレゼント?」
 頷くジュエール。
「これは私が彼に贈ったもの。それを……それをあのライカンが身に着けていたんです」
  キーラは眉をしかめた。
「ってことはあんたの彼氏ってライカンスロープだったってこと? なんで?」
「わかりません! わからないけど……あの時は何故か、ライカンを放っておけなかった」
 ジュエールは泣き出してしまう。
 どうやら、このお姫様の言ってる事は本当らしい。目の前の事実に混乱してしまっているようだ。
「もういいわ」
 キーラはそう言って優しくジュエールを抱き寄せた。
「いいコだから泣かないで。ね?」
 優しくジュエールの頭を撫でるキーラ。その時、ふとペンダントが視界に入る。何気に見つめていたペンダントに何かが憑いているのに気がついた。
「ジュエール、ちょっと貸してくれない?」
 そう言ってキーラはペンダントを手にとってよく見た。
 ペンダントとチェーンの継ぎ目にわずかにライカンの体毛が少しついていた。キーラはそれをつまむと灯りにかざして見つめた。
「これって……」
 キーラの表情が真剣になる。
「どうしました?」
 ジュエールが不思議そうにキーラの顔を覗き込む。
「うーん……どうやらこの件には何か陰謀がありそうね」
 そう言ってにやりと笑うキーラ。
 ジュエールにはその意味が分からなかった。
「どういうことです?」
「それは……」
 その時、誰かがドアをノックした。
「誰?」
 ジュエールの問いかけにドア越しに返事が返ってくる。
「御休みのところ申し訳ありません。王様より伝言です」
「なんです?」
「はい、城内を騒がしたライカンをついに捕らえたとの事」
 その言葉にキーラとジュエールは顔を見合わせた。




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