真夜中の占い館で散歩
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ギャリー・トロット⑧(改)

2、闇の中の遺跡

 第二次世界大戦中、アメリカ ペンシルベニア州フィラデルフィアの軍港である実験が行われる。
 実験の目的は特殊な磁場発生装置を使いレーダーから対象物を消すというものだった。
 米海軍駆逐艦エルドリッジは装置発動後その姿がレーダー上から消える事に成功する。しかし、実験は思わぬ結末を迎えた。レーダー上から消えた直後、エルドリッジの姿は緑色の光に包まれてしまったのだ。
 そしてついには実験を見守っていた兵士たちの目の前からも消えてしまい、次に駆逐艦エルドリッジが姿を現したのはフィアデルフィアではなく、遠く離れたノーフォクであった。
 1943年10月28日の出来事である。



 ――現代
 7月4日PM10:40 異空間"ナイトワールド"

 リーパーは目の前の建造物を見上げて思った。
 これを造ったのは誰だ?
 正確な立方体で切り出した石材が見事に組み上げられている。これを造った連中は、計測と建築の技術をそれなりに持っていたに違いない。周囲を見渡しても周りは瓦礫ばかりで切り出せる石もないからどこからか運んできたのだろうが、それなりの労力もあったはずだろう。
 リーパーは建造物の出入り口を見てある事に気がついた。
 高さは3メートルを超えている。3.5か6といったところか。幅も2メートル弱だ。随分とでかい。
 もしかしたら、これを作った連中は、かなり大きな骨格を持っていたのかも。つまり建造したのは、人間ではないかもしれない。
 リーパーは地べたに倒れる怪物クー・シーの死体を見た。死体の形相からは、ともても人間並みの知能があると思えない。
 リーパーの想像はさらに膨れ上がっていった。
 いや、やめておこう。そいつは俺たちの知ったこっちゃない。今は、任務に集中するべきだ。
 リーパーは、周囲の警戒に戻ることにした。ただもうひとつ思う事があるとしたら……
「主よ。我らを御守り下さい。死の影が我らに近づかぬように」
 彼はそう呟いた。

 アンジェラ・ノイマン博士はアーチャーを倒れたクー・シーの横に立たせた。
「この辺でいいかい? 博士」
 クー・シーの足元辺りに立ったアーチャーは博士に手を振る。
「ええ、いいわ。そのまま立っていて」
 アンジェラは、カメラでそれを撮るとアーチャーの画像をノートパソコンに転送した。モデルになったアーチャーは画面を覗き込む。
「どうだい? 記念写真のデキは。モデルが良いから最高だろ」
「ええ、いい感じよ。あなた、身長は?」
「なんだって?」
「背の高さよ」
「183だ」
「183と……」
 ノイマンは数字を打ち込んだ後、画像上のアーチャーの姿を切り取って倒れたクー・シーの身体に並列に並べた。
 にやけたアーチャーの姿が切り絵の様に怪物の横に並べられるのは随分、滑稽な姿だ。
「何してんの?」
「計測器具を持ってきてなかったから代わりに、これでクー・シーの全長を測ったの。このクー・シーは、ミスター・アーチャーの1.56倍……約286センチ。大物ね」
 同じくアンジェラの調査に興味を持ったリトル・ビーが画面のマヌケな画像を覗き込んで笑いをこらえていた。
「ククク……この怪物はこのイギリス人1.5倍分だ」
「あっちへ行け、ビー! ぶん殴るぞ」

 スヴァローグは、麻季の持っていた財布と生徒手帳を調べていた。
「本当に日本の学生なのか?」
 スヴァローグはロシア訛りの英語でそう呟いた。
「身分偽造にしても、なんで日本の高校生の身分証を使うのか……もっと気の利いた身元を偽ってもいいでしょうに」
 トルートは、財布から抜き出していたレンタル店の会員証を見ながらそう言った。
「おまえはどう思う?」
「日本でも同じような実験をしていて、それに巻き込まれたとか」
「日本が? まさか」
「ゼロ・ファイターを造った国ですよ」
 スヴァーログとトルートは衛生担当の隊員に手当てを受ける麻季を見やった。

「腰に裂傷はない。痛むのは軽い打撲だな。すぐ治るよ。顔の擦り傷は一応消毒しておこうか」
 衛生担当であるドイツ系の隊員は、そう言うと麻季の頬に消毒液を塗った。麻季には、彼の言葉がよく聞き取れてなかったが治療の説明をしてくれているのは理解できた。
「あ、ありがとう……いえ、サ、サンキュー」
「You're welcome(いいさ)」
 片言の言葉に相手は軽く笑って答えてくれた。
 その反応に麻季は、ほっとする。日本語が通じるトルートとの会話で幾分、麻季には気持ちに余裕のでてきていた。
「他に痛む場所はあるか?」
 衛生担当は、麻季が理解できるように身振り手振りとゆっくりとした口調で言う。
「手首が少し……」
 麻季は左の手首をさすってみせた。
「wrist(手首か)」
 袖をめくると手首には奇妙な痣ができていた。まるで手首を誰かに掴まれたようだ。
「おっと、これは派手だな。いや、少し酷い内出血を起こしてるだけようだ。心配ないさ」
 麻季は、覚えのない痣を見て驚いていた。
 一体、いつの間にできたのか?
 その時、麻季の頭に何故だかあの言葉が浮かんだ。

 君を待ってる……

 Eメールに書きこまれていた言葉だ。

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