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真夜中の占い館で散歩
オリジナル小説の公開です
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案山子の庭②

logoゲイ★ボルグ297-210よこ
背景画像は「ドラゴンズプラネット」さんからお借りしました。



 霧の深い中……

 昼間だというのに薄暗い空には蝙蝠が飛び交っている。
 ライトを照らしながら一台の水色のフィアットが走っていた。
「おっかしいなぁ……ここのはずなんだけどな」
 伝説の槍ゲイ・ボルグを見つける為にスカーハはペンシルバニアに田舎までやってきていた。
 周囲を見渡しながらゆっくりとアクセルを踏むスカーハ。
 上を飛ぶ蝙蝠に気を取られたその時、目の前に何かが飛び出してた!
「おわっ!」
 慌ててブレーキを踏んだ。
 前輪のサスペンションが思い切り沈み込み運転席のスカーハも危うくハンドルに顔をぶつけそうになった。
「ふう……」
 止まった車から降りたスカーハが前を見ると地元の住人らしき老人が腰を抜かしていた。
「だ、だいじょうぶですかぁ?」
「な、なんとかね。この辺りに車が通るなんてめったにないから油断したよ」
 スカーハは老人に駆け寄ると助け起こした。
「死ぬかと思った」
「本当にごめんなさい」
 スカーハは頭を深々と下げた。
「わしも不注意だった。気にすることはないさ」
「そう言ってくれると助かります。でも、おじいさんに怪我がなくてよかったです」
 スカーハはようやく胸をなでおろした。
「ところで、お嬢さん。こんな田舎町に若い子が何の用かね?」
「私、この近くに働きに来たんです」
「そうか、そうか。しかしえらい所にきたもんだな。ここは街に比べると不便じゃぞ」
「私の住んでいた場所も似たような感じでしたから」
「あんたも田舎育ちかね」
「まあ、そんなところです」
「ところであんたは何処へお勤めなさる?」
「クラン様のお屋敷です」
 その名前を聞いた老人は表情が変わる。
「クランの屋敷?」
「はい」
「よした方がいいぞ」
「え?」
「あそこには良くない噂があるでな」
「大丈夫ですよ。そういうのも慣れてます」
「は?」
「い、いえ。なんでも」
「とにかく考え直した方がいいぞ。お嬢さん」
「いえ、これも使命ですから……あ、そうだ」
 スカーハは、ポケットから地図を取り出して広げた。
「どうやら迷ったみたいなんですよ。お城の場所をご存じでしたら教えていただけませんか?」
「むう……しかたがないねえ。この場所がここだからここをこう行って……」
 老人は地図を指差してクラン館を場所を示した。
「そうか、道を一本間違えてたんだ」
「この先を右に行けば後は一本道だよ」
「この道の先ですね。どうもありがとう! おじいさん」
「使命とまで言われちゃあねぇ。うちの孫も見習ってほしいもんだよ」
 スカーハはお辞儀をするとフィアットのドアを開けた。
「なあ、お嬢さん。クランの屋敷に行ったら庭にだけは絶対近づいちゃいかんよ」
「庭……ですか?」
「ああ、絶対だめだ」
「わかりました。いろいろありがとう」
 スカーハは車に乗り込むと再びエンジンを掛けた。タイヤが砂利を撥ねてフィアットは走り出す。
「ああ、行っちまった。何もなければいいが……」
 老人は不安げな表情でフィアットの後ろ姿を見送った。



 10分も走ると丘越しに何かが見えてきた。
「あれね? だけど……」
 暗く薄暗い雲が立ち込めるその下に城があった。不気味でなにかが潜んでいそうな場所にみえる。
 その様子にスカーハは、息を呑んだ。
 それは、これから大変な生活が始まる事を予感させるような情景だった。


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