真夜中の占い館で散歩
オリジナル小説の公開です
http://delta66.blog3.fc2.com/

 

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 
 

悪魔は涙と取引する⑤

 Ⅴ


 次に俺は向かったのはバールのナワバリだった。
 エウロパの事はこの大悪魔が関わっている可能性が高いようだ。俺も関わりたくない相手なんだだが。
 
 "ピンクドレイク"

 目の前にあるのは派手な看板が掲げられた酒場。
 ここが大悪魔バールの根城だ。 この辺りの悪魔どもが、こぞって集まる場所でもある。
 当然、出入りしているのはタチの悪い連中ばかり。そいつは遠目にみても分かる。
 この店に来ればそういった連中が仕事にありつける。単に酒を飲んだり飯を食ったりする場所といだけではなく悪魔どもが悪さをする仕事を仲介しているというわけだ。
 しばらく様子を窺っていただけで、相当数の悪そうな連中が出入りしていた。見た顔もあれば知らない顔もいた。
 俺は煙草に火をつけると壁に寄りかかると、バールの手下が来るのを待った。
 見分け方は簡単。出入り口の用心棒がすんなり通すのがバールの手下だろう。
 吹かし煙草にはもうウンザリしていた頃、、条件に合う集団がやってきた。
 やれやれ、ようやく来てくれたか。
 俺は煙草を投げ捨てると悪魔の根城、"ピンクドレイク"に入って行った。
 店に入ると俺はカウンター席に座り飲み物を注文した。
 店員がまるでおれを品定めするような目つきで見ると注文の酒をグラスに注ぐ。
 グラスの酒をちびちびやりながら俺は店内を見渡した。
 中にいるのは悪魔や魔獣。少し人間も見かけるがロクな連中じゃない。
 さすがに悪の巣窟だ。
「なあ、あんた。ちょっと聞きたいんだけど」
 俺はバーテンの袖を掴むと引っ張った。バーテンはじろりと俺を睨みつける。
「聖弾を売りたいんだよ。手持ちの品がだぶついていてさ。さばきたいんだ。誰かいい買い手を知らないかな」
 バーテンは黙っていたがしばらく考えた後、俺にメモを渡した。
「そこに行け。魔王が何とかしてくれる」
 メモには魔法陣と見慣れない記号が書かれていた。
「切符代わりだ。そこにある扉の隙間にそいつを差し込めば、魔王のところに行ける」
「ありがとよ。ああ、バールの部下たちもこんなのを使ってアジトに出入りするのか?」
「……そんなところだ」
 俺は言われた通り扉の隙間に魔法陣の描かれたメモを差し込んだ。その後、ちらりとバーテンの方を見る。バーテンは大丈夫だと頷いた。
「入るぜ」
 中は真っ暗だった。俺は慎重に中を見渡したが中には何もない。
「おい、何もないじゃ……あ?」
 俺は文句を言おうとバーテンの方を見ようと振り向いた。しかしそこはさっきまでいた酒場の中ではなかった。
「誰だ?」
 書斎の様な部屋の中に誰かがいた。木製の重厚な机の上で書きものをしている。
「お前こそ誰だ。何か用があってここに来たのだろうが」
 書斎の男は低い声でそう言った。
「俺はバールに会いたいとバーテンに言ったんだ」
 男は顔を上げた。その眼は氷の様に冷たく獣の様に鋭い。
「俺がバールだ」
 書斎の男は書き物を止めるとそう俺に言った。
「あんたが?」
 バールは思ったより人間に近い姿だった。といっても悪魔の見かけはあてにならない。本性はとんだ怪物だろう。
「なにか用かと聞いているんだ。若造」
 さすがに魔王だ。声に迫力がある。
「聖弾をさばきたいんだ。あんたが仲介してくれると聞いた」
 魔王はイスに寄りかかると箱から葉巻を取り出し咥えた。
「いくつ持ってる?」
 魔王は低い声で言った。
「……千発入りが10箱」
 バールは葉巻を咥えたまま金庫を開けた。
「全部買い取ってやる」
 金庫から取り出したのはフェンニル・コインを入れた袋だった。その袋には見覚えがあった。
「本当か?」
「一括で買ってくれる奴なんてこの街にはいないぞ。どうする? 売るのか? 売らんのか?」
「いや、まさか即決とは思わなかったんで驚いているんだ。どこかと戦争するってのは本当だったんだな」
 バールはじろりと俺を見た。
「どこで聞いた?」
「どこっていうか、街の噂でね。みんな言ってたぜ」
 バールは鼻で笑った後、葉巻の灰を灰皿に落とす。
「まあいい……」
「ああ。今、物は持っていないんだ。ある場所に隠してる」
「じゃあ、部下をつけてやる。引き渡せ」
「まさか、全部買い取ってくれるとは思わなかったんでね。少し、考えさせてくれ」
「取引を持ちかけたのはお前の方だぞ」
 バールは苛立った。だが怒りに任せて話しを流さないのはまだ聖弾の件に興味を持っているからだ。これならまだ話しは続けられる。
「とにかく考えさせてくれよ。あんたがこんな上客とは思わなかったんだよ。いろいろこっちにも都合があってね」
「ふん」
 バールは再び、葉巻を咥えた。
「ところでバールさん。あんたのところにエウロパって人間が出入りしてないかい?」
「エウロパが人間?」
「そう。奴にはちょっと借りがあってね。探してるんだよ」
「エウロパって人間は知らんが悪魔のエウロパは知ってるぞ」
「悪魔? エウロパが?」
「ああ、俺の手下のひとりだ」


スポンサーサイト
 
 
 
Comment

Comment Form


秘密にする

Trackback

 

 

*Template By-MoMo.ka* Copyright © 2017 真夜中の占い館で散歩, all rights reserved.
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。