真夜中の占い館で散歩
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悪魔は涙と取引する⑧(完)

 Ⅷ



「契約どおり、魂は渡すわ」
 ドイルの店でムーンはそう言った。
「仇も討てたし思い残すことはない。それに私、病気で死にかけたこともあるの。死ぬのなんて怖くない」
 ムーンはそう言いったが手は震えていた。
 ドイルがそのムーンの前にアイスクリームを置いていく。
「俺の奢りだ。食えよ」
 ムーンはスプーンを取るとアイスクリームに手をつけ始める。
「冷たいくて甘い」
 アイスクリームを口にほおばりながらムーンはうれしそうにそう言った。
「それが生きている証拠だ」
 俺は席から立ち上がった。
「あの……何処へ」
「支払いしてくる。お前は食べていていいぞ。俺は金を払ったら先に帰るから」
「魂、取らないの?」
 俺はムーンに背を向けた。
「残念ながら俺は契約を果たせなかった。だから契約は不成立だよ」
「でも、エウロパを見つけてくれたよ」
「忘れたのか? お前と契約したのはお前の父親を見つける事なんだぜ。俺が見つけたのは父親じゃない。それに……」
 俺はムーンの顔を見る。
「あんなトマトソースで書いた契約書なんて使えるかよ!」
 そう言い残して俺はその場を後にした。
 魂を取れなかったのは惜しいが仕方がない。
 だが、これで他の悪魔の契約は守られたわけだ。
 娘を想う父親と
 その友達だった悪魔の交わした契約は……。



 冷たい月の明かりが好きだ。

 僅か光だが、闇の中を照らすには十分。
 それに余計な物は照らし出さない。美しいものも醜い物も。
 それが気に入っている理由のひとつでもある。
 


 
「悪魔は涙と取引する」終わり

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