真夜中の占い館で散歩
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真夜中の占い館で散歩⑤

5、真夜中の占い館

 その夜、言われたとおり啓太といずみは、再びゲームセンターに来ていた。
 オーナーに話をつけておくからと言った紗璃の言うとおりにドアの鍵は掛かってなく簡単に入ることができた。
 ライトを照らして暗いゲームセンターの中を歩く二人。
「紗璃さん?」
 暗闇の中に呼びかけたが何も返事は返ってこなかった。
「まだ来てないみたいだね、紗璃さん」
「啓太くん」
「ん?」
「ごめん、私の為に」
「いや、そんな」
「啓太君は私の命の恩人よ。それに、こんなことまで付き合ってくれて」
「違うよ。むしろ謝るのは俺の方だよ。俺がちゃんとしてないから相葉さんをこんな目にあわせてるんだって」
「あの時、声をかけてくれなけれは私は死んでたんだよ?」
 確かにそうだ。しかしそれはすべて紗璃の占いの言葉どおりにした事だ。
「だけど、なんで紗璃さんが私の事故の事を占えたのかしら……」
「え? 」
「啓太くん、どんな占いを頼んだの?」
「いや、それは、あの……」
 頼んだのは、いずみとの事だったが、それは言えなかった。大体、そのせいで死神なんてのも呼び出してしまっているのだ。もし、ちゃんと告白すれば運命は完全に修正できたはずなのだ。そうすれば、いずみが死神という得体の知れないものに狙われなくても済んだ。それを思うと啓太には全てを言う事ができなかた。
「それより、死神をなんとかしないとね、相葉さん」
 啓太は話をそらした。
「あれはね……あれは、なんか分かるの」
「あれって? 死神の事?」
 いずみは黙って頷いた。
「何、どういうこと?」
「だって私……私は」
 その時、闇の中から音がした。
「静かに」
 啓太は音の方に向けてライトを照らした。しかし、照らした先には何もない。
「今、何か動いた様な気がした」
「やだ」
 いずみが怯えて啓太の後ろに隠れる。
 しかし、その背後にぼんやりと黒い霧が現れているのに二人は気付いていなかった。


(いずみ……)


 かすかに耳元で声がした気がして、思わず振り向く、いずみ。
「誰?」
 辺りを見渡すいずみの背後から手の様なものが伸びていた。それに気づき振り向こうとした時、その手の様なものは突然、いずみの手首を掴んだ。
「え?」
 手の様なものは、いずみをものすごい力で闇の中に引っ張りこもうとしていた! その強さに、いずみは抵抗する事ができない。突然の恐怖にいずみは叫び声を上げた。
「きゃあああ!」
 叫び声に啓太が振り向くといずみの身体が闇の中に引きずり込まれいくのが見えた。その背後には何かがいる!
「相葉さん!」
 啓太は闇に引きずり込まれていく、いずみに手を伸ばした。しかしその手は、いずみに届かなかった。
「どうなってんだよ! くそっ!」
 咄嗟にライトを照らしてみたがそこには電源の切れたゲーム台が並んでいるだけでだ。
 足音が聞こえてきた。啓太は焦って振り向いた。暗闇の中に微かに人影が見える。
「わあぁ!」
 啓太は、驚きで声をあげた。
「ちょっと、びっくりするじゃない」
 そこにいたのは紗璃だった。
「紗璃さん……ですか?」
「ごめん。啓太くん。ちょっと用事が長引いちゃってさ」
「用事ってどうせカップ麺でも食ってたんでしょ?」
「えっ! 何で知ってるの?」
「本当にそうだったんだ……い、いや、それより、いずみちゃんが!」
 啓太は、さっき起きた事を説明した。
「何ぃ~っ! 何してんの! 少年!」
「ごめんなさい! でも紗璃さんだって遅刻したじゃないですかぁ」
「まったく、もう~っ!
 紗理はポケットからカードを取り出した。
「おい、少年!」
「は、はい」
「その下を照らして!」
「はい」
 指差した床に光が照らされると、そこに紗璃はしゃがみこんでカードを十字に並べ始めた。
「何してるんですか?」
「これはね、探し物を占っているのよ。この場合、いずみちゃんだけどね……えーと、どこだどこだぁ」
 心配そうにそれを覗き込む啓太。
「よし! これだ!」
 スペードのクイーンを引きあてると紗璃は立ち上がると上を指差した。
「屋上よ。奴はいずみちゃんを屋上に連れて行ったわ」
「奴って、例の死神?」
「他に誰がいるのよ! きっと奴は彼女をビルの上から突き落とす気よ! 追って!」
「でも……俺……」
 啓太は階段に向うのを躊躇した。何しろこの先にいるのは得体の知れない化け物だ。苛立った紗璃がいきなり大声を上げる。
「こら! 啓太! 」
「は、はい!」
「あんた、いずみちゃんがどうなってもいいの?」
「い、いえ」
「このままだと、いずみちゃんは本当に死神に命を奪われちゃうわよ!」
「そ、そんなぁ」
 その言葉に啓太の表情が変った。
「そんなことは、絶対させません!」
 紗璃の言葉で意を決した啓太は階段に向った。
 その後姿を見送る紗璃。
「うん! よく言った! 少年。必ず助けるのよ……クソッタレな結末は自分で蹴飛ばさなきゃ」

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