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真夜中の占い館で散歩
オリジナル小説の公開です
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真夜中の占い館で散歩①

占い館表紙356×356logo-15

それは他愛のない恋占いのはずだった。
片思いに悩む少年がある日、占い館に立ち寄った。
そこにいたのは、ちょっぴり調子のいい不思議な占い師、紗璃。
占いのおかげで片想いの 相手といい関係になったのだが、思わぬオマケが付いてくる事に……。
真夏の夜に起こる、すこーしダークなショートストーリー。
さらにいろいろ書き足した改訂版で復活です。




1、ある日のこと

「なんだよ! くそっ!」
 腹立ち紛れに黄色と赤のボタンが叩かれた。
「ほら、代われよ啓太。俺がリベンジしてやるって」
 髪の毛を茶色に染めた少年が不服そうな顔でテーブルゲームの席から立ち上がる。それと入れ替わる様に友人は席に座ると硬貨を投入口に入れてゲームを開始していた。
『 レディー、ゴー!』
 ゲーム機がスタートを告げる。その様子をぼんやり眺めなていた時、宅間啓太は視界の中の見慣れないアトラクションに気がついた。
「占い館……"紗璃"……さ、さる?」
 隣の友達は、ゲームに熱中したまま。優勢の様だからまだゲームは続く筈だ。
 ゲームに夢中な連れを残し、啓太、はこっそりその場を離れ、その奇妙なアトラクションの方へ向った。

 テントは葵色の下地に星型マークがちりばめられたシートで作られていた。

 何でも占います。―占い館 紗璃―

 入り口らしきマジックで手書きされたボードがかかっているが、あまりにも安っぽい。
 啓太は少し迷っていたが、意を決して中に入っていった。
「すみませーん……」
 中へ入ると中では長髪の若い女がカップ麺の麺を口に入れる瞬間だった。
 目が合ったまましばらく沈黙が続く。
「あの……で直します」
「ま、まって!」
 出て行こうとする啓太を即座に呼び止めた女は、カップ麺を急いでテーブルの下に隠すと何事もなかった様に微笑んだ。
「いらっしゃいませ! 」
「いいんですか? 食事中だったんじゃ……」
「はいはい。ちょっとお腹が空いてたんで。でもいいです! お客様優先だし! 当、占い館では、常にお客様の事を第一に考えてますんで♪ ようこそ、占い館"紗璃"(さり)へ! 私の名前は、紗璃と申します」
 女は、わざとらしいくらい満々の笑みを浮かべた。
「"さる"じゃないんだ……」
「はい? 何か言いました?」
「い、いえ、なんでもないです。あの、占い、いいですか?」
「もちろん! だって占い館だし。ささ、おかけくださいな」
 そう言って紗璃が手で指す椅子に啓太は座った。
「さて! 何を占いましょうか」
 紗璃と名乗る女は気合をいれたかったのかネイルアートを施した指をポキポキと鳴らしてみせる。
 なんだか思っていたイメージと違うな、と啓太は思った。
「あ? えっと……あの、進路の事を」
「ああ、進路ね。見たところ学生さんよね。多いんですよ。学生さんの進路相談。先生じゃないっつーの、うちは」
 啓太は気まずそうに愛想笑いをした。
「あっ……はははは、いえ、ほんの冗談だから聞かなかった事にしてね。その次に多いのは恋の悩みなんだけど」
「えっ?」
 啓太はそのキーワードにドキっとする。
 実は彼の占いして欲しかったのは、むしろそっちだったのだから。
 占い師の紗璃も啓太の様子に気がついた。
「ん? 何か?」
「い、いえ。なんでもないです」
「あっそう。では占います」
 紗璃はカードを取り出すとそれをシャッフルしだした。
( タロットカードじゃないんだな…… )
 啓太がそう思った途端だった。
「ん……タロットカードは雰囲気がでるんだけど、好みじゃなくてね」
 紗璃は啓太の考えが分かるかの様にそう言った。
「え?」
「要するに、どのカードにどんな意味を持たせるかは占いする者次第ってことだと思うんですよ。カードはあくまでも選択すべき未来を感知する為の手段に過ぎないと思うんで」
 そう言ってにこりと笑う紗璃。
「あのぉ……すみません」
「なんでしょう?」
「なんで僕の思っていた事が分かったの?」
 不思議そうに言う啓太に紗璃は悪戯っぽくほほ笑む。
「いや、ずっとカード見てたから、かなーって思ってね」
 涼しい顔でそう言う紗璃は、カードをシャッフルし続ける。
 啓太は不思議な思いに囚われながらもカードを切る紗璃を見た。

 よく見るとキレイな人だよなぁ……ちょっと変だけど。

 啓太の視線に気がついた紗璃は、にこりと笑いかけた。
 少し恥かしくなり視線をそむける啓太。
「ねえ、あなた、本当は別の事を占って欲しいんじゃない?」
 突然の、その言葉にドキリとする啓太。
「どうなの?」
 紗璃という占い師は啓太の心を見透かしてるようにそう言った。
「は、はい実は……あの好きな娘の事について、ちょっと」
 照れながらそう言う啓太を見て紗璃は目を輝かす。
「好きな女の子? そう!そう! そういう楽しい占いじゃないとねぇ。だったら最初からそう言えば良いじゃない。もう! それってもしかした思春期って奴?」
「はあ、すみません」
 啓太は申し訳なさそうに頭を下げる。
「いいって、いいって。じゃあ、そっちを占うということで」
「お願いします」
 照れくさそうに小さな声で頷く啓太。
 紗璃はカードを揃え直した後、再びカードを切り始めた。やがて一枚を引き抜くとテーブルの上に置いた。


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