真夜中の占い館で散歩
オリジナル小説の公開です
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カルシルアの戦歌

カリシルアトップ用280×400横カリシルア0121-2
惑星インフェリアは謎の機械生命体ガルバの侵略を受ける。先住種族ヒリア人と交流をとり始めていた地球政府はインフェリア解放の為、軍事作戦を敢行した。そんな中、地球から新兵器が送り込まれる。パイロットはインフェリア王家の血を引く者だった。SFロボットアクション(原案ORIGINAL NOVELCITY MAXWELLのリコさん) 


 1、戦いの惑星
 ①
 (2稿目)

 惑星インフェリア
 地球から数千光年離れたこの星は豊富な酸素と水を持つ惑星だった。
 恵まれた環境の、この星には知的生命体が生存していた。
 人類はこの知的生命体を「ヒリア」と名づけた。
 それは彼らの言葉で"人間"という意味だ。
 人類が初めて彼ら「ヒリア」にコンタクトを取った時、彼らは大きな問題を抱えていた。
 侵略者の存在である。
 「ヒリア」の言葉で"人間でない者"の意味の彼ら「ガルバ」たちは、交渉も警告もなく唐突に侵略を開始。インフェリアの大地には機械生命体である「ガルバ」自身の生産工場が建造された。この強引な開発で多くの森が焼かれ湖が汚された。
 先住種族のヒリア人たちが抵抗をしたのはいうまでもなかったが進んだテクノロジーを持つガルバは手強く、状況は悪化していった。
 そしてヒリア人との交流を始めて8年後、はるか彼方のトラブルに最初は傍観していた地球軍もインフェリア解放の為、大規模な軍事作戦を敢行する。
 作戦開始後、数か月でインフェリアでの形勢は逆転してものの地球軍に多くの損害を出す事となった。
 そして2年が経過した。
 だが戦いはまだ続いている




「こちらブラボーワン、予定空域に入る」
 青天の大気の中、複座式の戦闘攻撃機が北に向かっていた。
「レーダー作動中。だがターゲットはまだ感知できない。失敗か?」
 雑音混じりの返信が入る。
『ブラボーワン、テストターゲットの打ち上げが遅れている。すまんが旋回を続けてくれ』
「了解」
 後部座席のパイロットは肩を竦めると操縦する前のパイロットの肩を叩いた。
「だとさ、キーファ」
 パイロットは操縦桿を上げると機体を上昇させた。
 本来の目的は地球から届いた新型レーダーのインフェリアでの適応性をテストする為だった。しかしテストターゲットの遅れで出来た余裕の時間をパイロットは別の目的に使う事にした。
 機体は上昇を続けたが、すぐに青い空は夜の様になり、下にはインフェリアの大地が曲面をみせている。今、テスト機がいるのは大気と宇宙の境目だ。
 操縦桿を握るキーファは、この大気と宇宙空間の境を見るのが好きだった。
「ヒーハァ! 最高だな! キーファ」
 後部座席のルーザが興奮気味のそう言う。
「ああ、いい景色だ」
 変わらぬテンションで答えた操縦桿を握るキーファも内心は十分楽しんでいた。
「だが、じきに基地から文句が来るぜ」
「来たら降ろせばいいさ」
「だな」
 その時、キーファはレーダーに何かが映ったのに気が付いた。
「おい、ルーザ」
「なんだ?」
「テストターゲットの打ち上げは遅れてるんだったよな」
「そう言ってたぜ」
「じゃあ、今、レーダーに映っているのは何だ?」
「おっと、やばい……テストを開始したのかも」
 ルーザは、慌てて新しいレーダーのシステムを見る。
「ターゲットは降下中」
「おい、ルーザ」
「なんだ」
「ターゲットは打ち上げの筈だろ? こいつは降下中だ。変だぜ」
 そうしてるうちに基地から返答の通信が来た。
『ブラボーワン、ターゲットは、まだ打ち上げされていない』
 基地の管制室からの返事にパイロット2人は眉をしかめる。
「ルーザ、ターゲットの識別は?」
「まてまて、えーと」ルーザが慌ててディスプレイの表示を確認する。
「地球軍の宇宙駆逐艦の識別だ!」
「友軍か」
「ああ。だが、それ以外のオマケも付いてるぜ」
「オマケ?」
「ガルバどもの機動兵器が2機喰らいついてやがる」
 レーダーに映った敵の存在にコクピット内の緊張感が高まっていった。


 
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カリシルアの戦歌②

カリシルアトップ用280×400横01ギガゲイ
原案ORIGINAL NOVELCITY MAXWELLのリコさん) 



Ⅰ・戦いの惑星 2
(二稿目)

 第22宇宙軍基地の管制室は慌ただしくなっていた。
 状況を把握しようと基地指揮官のウォーター大佐は、部下に指示を出しまくっていた。
「アンノーンは、アルテミス級強襲駆逐艦"サジタリウス"と判明。大圏内活動可能艦です。識別は特務部隊所属コード・ブラック」
 オペレーターが早口でウォーター大佐に報告する。
「コード・ブラック?」
 気の利いた下士官の一人がウォーター大佐にファイルを渡した。
「本基地に到着が予定されている艦ですが到着は18時間後の筈です」
 ウォーター大佐は顎に手をやりながら思案する。
「"サジタリウス"は、なぜ、応答しない」
「大佐、この艦は偽装艦の可能性はないでしょうか?」
「いや、通信できない状況なのかもしれない。早計な判断はやめておこう。サジタリウスはガルム(ガルバの機動兵器)の追撃を受けているといったな?」
「はい。近くにいる新型レーダーのテスト機からの報告です」
「キーファーとルーザの機か?」
「そうです」
「キーファ機の武装は?」
「空対空ミサイルと機銃を装備中です」
「支援はできるという事だな」
 ウォーターが選択支を思案する。下士官たちは指揮官の決断を待った。
「現在、飛べる隊は?」
「第13飛行小隊がいけます」
 ウォーター大佐が決断した。
「よろしい。第13小隊の発進準備だ。まだサジタリウスからは救援要請は来ていないが、司令部からの指示があり次第、第13小隊を向かわせる」
「大佐」
「なんだ?」
「サジタリウスは北西に向けて降下中。基地から離れています。このままでは第13小隊を発進させても追いつけなくなる可能性もでてきますが」
 ウォーター大佐は再び決断を迫られた
「大佐」
「今度はなんだ?」
「ブラボー・ワンから攻撃許可の要請が来ています」


 滑走路では基地の守備隊である第13小隊のパイロット、カレン・エディルーネが苛立っていた。
「なんで、発進許可がでない? 味方が襲われてんだろ?」
 カレンはコクピットの風防に拳を叩きつけた。
 空と同じ青くカラーリングした戦闘攻撃機GF-64は、空対空装備を済まし既に暖機運転もを終えていた。命令さえあればいつでも飛びたてる状態だ。
「きっと司令部から指示がでないのよ。落ちついてカレン」
 後部座席のヒリア人キリオ・エラ・ミルミは、感情の高ぶるバディをなだめた。
「ちっ! 玉ナシめ」
「何? カレン?」
「なんでもないよ。ただイラついた時に言う地球の言葉を使っただけ」
「タマナシ……か、覚えておくわ」
 後部座席のヒリア人は、そう言ってカレンの言葉をメモし始めた。
「キリオ。それ、たぶん人前で言わない方がいいと思う」
 第13小隊の戦闘攻撃機は、そのまま待機を続けた。



 一方、降下を続ける強襲駆逐艦"サジタリウス"から小規模な爆発が始まっていた。
 それはブラボー・ワンの探知システムで感知していた。
 ブラボー・ワンのパイロット、キーファは基地の管制室に攻撃許可を求めていたが未だ返事は来ない。だが、その機首は、すでにサジタリウスに向けられている。
「おいおい、キーファ、いいのか? 命令違反になるぜ」
 後部座席のルーザが言った。
「進路を外れてるだけだよ。命令違反じゃない」
「へへ、よく言うぜ」
 相棒の屁理屈にルーザは肩を竦めた。
 その時、基地のウォーター大佐から通信が入る。
『ブラボー・ワン』
 キーファとルーザはその通信に耳を傾けた。
『キーファ少尉。援護を許可する前に聞いておきたい』
「なんでしょうか? 大佐」
『戦闘になった場合、対応は可能か?』
「どういう意味です?」
『言葉の通りだ。君が耐えられるか聞いているんだ』
 基地からの問いかけにキーファは沈黙した。
 後部座席のルーザが心配そうにキーファを覗き込む。
『准尉?』
「大丈夫です。戦闘は可能です」
 キーファの返答の後、今度は基地の方が沈黙した。
「あまり時間はありませんよ。大佐」
 しばらく間をおいた後、ようやく基地から返事が来た。
『わかった。少尉、支援を許可する』
 ルーザがキーファに親指を立ててみせた。
『サジタリウスに接触したら状況を逐一報告するんだ。いいな』
「了解、映像をそちらに回します。ついでに記念写真も?」
『それはいらん。急げよ』
 そこで通信は終わった。
「よし! キーファ、許可が出た。ぶちかましてやろうぜ!」
「オーケー! 飛ばすぞ、掴まってろよ!」
 戦闘攻撃機GF-64"ギガゲイ"はアフターバーナーを全開にした。



 
 

カリシルアの戦歌③

Ⅰ・戦いの惑星 3
(三稿目)

「第7区画にダメージコントロール班をよこしてくれ! 聞こえるか?」
 必死の呼びかけが艦内に響く。
 アルテミス級宇宙駆逐艦"サジタリウス"の艦内はパニックに陥っていた。
 CIC(戦闘指揮室)が機能を失い命令系統は混乱。自動操縦によりかろうじて降下を続けている。しかし、船体に取りついた凶悪な機械が破壊を続けている限り、墜落は時間の問題だろう。
 生き残った戦闘指揮官が防衛用のシステムを操作したが船体に取りつく敵はあまりにも近すぎて狙いがつけれないでいる。
「手動に切り替える」
 砲撃担当士官が小型のレールガンを強引に動かす。本来なら船体破損の危険がある為、ストッパーのかかっている角度だ。しかしこの状況ではそうも言ってられない。レールガンの砲身が船体に取り付いた灰色の機械に向けられた。それに気付いた異星人の戦闘マシーン・ガルムが唸るような音を発する。
「くたばれ! 機械野郎!」
 高熱のプラズマが砲弾をはじき出した! 
 超エネルギー帯びたハイ・タングステン弾がガルムの頭部を吹き飛ばす。一瞬、撃破されたかに思われたマシーンだったが腕のみがレールガンに這っていく。
「嘘だろ」
 生きていたガルムの腕は、目の前のレールガンを叩き潰してしまった。
 マイアミの反撃の手はこれで尽きた。
 艦内に船体のきしむ音が響く。同時に格納庫で爆発が起きる。
 整備兵たちが爆発に巻き込まれた仲間を助け出す。
「おい! しっかりしろ」
 助け出された整備兵は思いのほか重症だった。その時、格納庫に一人のパイロットがやって来た。
「どいて下さい」
 パイロットは倒れた整備兵に近寄ると傷口に手を触れた。
「あんた、どうする気だ?」
 整備兵がパイロットにそう言った時だ。別の整備兵がそれを止める。
「よせ、彼女はヒリア人だ」
 そう言って整備兵たちが仲間を引き離す。
 周りに音楽の様な音が聞こえてきた。爆音の中、そのメロディは、すんなりと耳に入って来る不思議な音だった。
 不思議な事に音が流れると同時に怪我をして整備兵の傷が止血されていく。
「これで動かしても大丈夫。早く衛生兵に」
 そう言うとヒリア人パイロットは手を離した。
「す、すまない。助かった」
 整備兵の礼も聞かないまま格納されている新兵器の方に向った。
「あんた、どうする気だ!」
「このままでは。この艦が墜ちます。その前に"これ"を使います」
 パイロットはそう言って新兵器"カリシルア"に乗り込もうとした。
「そいつは、二人乗りだろ。あんた一人じゃ無理だ」
 確かにそうだった。この新型兵器は、武器管制担当のガンナーと機体操縦のパイロットのペアが必要だった。
 だが、既に操縦パイロットの方は攻撃により死亡していた。今は、ガンナーパイロットしかいない。
「ガンナーシステムを作動させれば砲台替りになります」
「無茶だ! ここから出ることもできないんだぞ」
 しかしパイロットは制止を無視して"それ"に乗り込んだ。
 コクピット内のいくつかのディスプレイが一斉に作動し中を照らした。パイロットは備え付けのヘルメットをかぶるとコードをつなげスイッチを入れた。
「システム作動開始、照準初期化開始、エネルギー接続……コントロールをガンナーに移行……」
 パイロットはまるで呪文を唱えるが如く手順を暗唱していく。ひとつの段階が終わるたびに機体の振動音が大きくなっていった。
「"戦歌"発動」
 その一言で"それ"の機体の駆動部から強烈な光が発せられた。危険を感じた整備兵はその場から逃げ出した。
 狭い格納庫にケーブルで繋ぎ止められていた"それ"がゆっくりと動き出す。
 ケーブルが留め金ごとはじけ飛んだ。
「いくわよ、カリシルア」
 20m近い黒い人型機体が胴体部分を起こしていった。
 パイロットは宇宙軍の戦闘機用とは違う特殊な形状をしたヘルメット越し送られてくる情報を読み取っていた。
 彼女の頭の中に艦に取りついた敵の位置情報が飛び込んでくる。
「直撃させれば被害は最小限に……」
 その時、パイロットの思考にシステムの情報伝達とは違う強烈な何かが入り込んできた。

 誰?

 ガンナーパイロットは、その発するような"何か"を感じ取ろうと、意識を集中させた。




 降下を続ける宇宙駆逐艦"サジタリウス"の外に並行するように飛ぶGF-64ギガゲイ。
 そのコクピットからキーファは、無残な宇宙駆逐艦の姿を見ていた。
「見ろよ、船体にガルムがとりついてやがる!」
「2機……いや、3機! ガルムが3機取りついてる。連中も破損をしてる様だが戦闘可能なレベルだ」
 探知装置でと"サジタリウス"をスキャンしたルーザはそう言って舌うちする。
「宇宙駆逐艦の方は、かなりのダメージだな」
「呼びかけにも応じないのはその為か?」
「キーファ、こんな攻撃の仕方、見たことないぜ。何のつもりだ?」
「わからんがただ撃墜したいってだけじゃなさそうだ」
 キーファは船体でうごめく機動兵器を注意深く観察した。
「でも、これじゃ、うかつに攻撃できない」
「ミサイルは無理だ。接近して機銃でやる」
「おいおい、俺も乗ってるんだぜ? 無茶してくれるなよ」
「ツイてなかったな」
「へ、変なこと言うな!」
 キーファは機体を"サジタリウス"の艦尾に回る。宇宙駆逐艦の降下速度は速かったが同じ速度でなら捉えるのも容易だった。
 キーファは繊細な操縦を続ける。
 船体のガルムが艦尾に移動しだす。ルーザが素早く敵の動きを探知した。
「ロックをかけてきた!」
 言うが早いかキーファはトリガーを引いた。直撃した30㎜バルカンの弾丸がガルムの機体をバラバラにしていく。飛び散った大量の破片がギガゲイめがけて向かってきた!
「やばい! やばいぜ!」
 キーファは落ちついて急旋回し、それを避けた。
 その時、コクピットが突然薄暗くなる。
「しまった!」
 "サジタリウス"の船体からいつのまにか離脱していた一機のガルムがキーファの機に接近していた。

 左に!

 聞こえてきた声のいうとおりに機体を左に倒すキーファ。
 急旋回していく機体からGF-64を捉えていたガルムの機体が閃光に貫かれているのが見えていた。
「誰だ?」
 墜ちていく機械の残骸を確認した後、すぐにキーファは閃光の発射元を探した。
 破壊された"サジタリウス"の船体の隙間から何かが動いているのが見えた。
 一瞬、敵の機動兵器ガルムと思ったが形状が違う。第一、ガルムが仲間を撃ち落とすわけがない。
 するとこれはなんだ?
 キーファは船体から這い出す巨大な人型メカに目を釘付けになっていた。



 
 

カリシルアの戦歌④

二稿目

 降下を続ける宇宙駆逐艦"サジタリウス"の外に並行するように飛ぶGF-64ギガゲイ。
 そのコクピットからキーファは、無残な宇宙駆逐艦の姿を見ていた。
「見ろよ、船体にガルムがとりついてやがる!」
「2機、いや、3機! ガルムが3機取りついてる。連中も破損をしてる様だが戦闘可能なレベルだ」
 探知装置でと"サジタリウス"をスキャンしたルーザはそう言って舌うちする。
「宇宙駆逐艦の方は、かなりのダメージだな」
「呼びかけにも応じないのはその為か?」
「キーファ、こんな攻撃の仕方、見たことないぜ。何のつもりだ?」
「わからんがただ撃墜したいってだけじゃなさそうだ」
 キーファは船体でうごめく機動兵器を注意深く観察した。
「でも、これじゃ、うかつに攻撃できない」
「ミサイルは無理だ。接近して機銃でやる」
「おいおい、俺も乗ってるんだぜ? 無茶してくれるなよ」
「ツイてなかったな」
「へ、変なこと言うな!」
 キーファは機体を"サジタリウス"の艦尾に回る。宇宙駆逐艦の降下速度は速かったが同じ速度でなら捉えるのも容易だった。
 キーファは繊細な操縦を続ける。
 船体のガルムが艦尾に移動しだす。ルーザが素早く敵の動きを探知した。
「ロックをかけてきた!」
 言うが早いかキーファはトリガーを引いた。直撃した30㎜バルカンの弾丸がガルムの機体をバラバラにしていく。飛び散った大量の破片がギガゲイめがけて向かってきた!
「やばい! やばいぜ!」
 キーファは落ちついて急旋回し、それを避けた。
 その時、コクピットが突然薄暗くなる。
「しまった!」
 "サジタリウス"の船体からいつのまにか離脱していた一機のガルムがキーファの機に接近していた。

 左に!

 聞こえてきた声のいうとおりに機体を左に倒すキーファ。
 急旋回していく機体からGF-64を捉えていたガルムの機体が閃光に貫かれているのが見えていた。
「誰だ?」
 墜ちていく機械の残骸を確認した後、すぐにキーファは閃光の発射元を探した。
 破壊された"サジタリウス"の船体の隙間から何かが動いているのが見えた。
 一瞬、敵の機動兵器ガルムと思ったが形状が違う。第一、ガルムが仲間を撃ち落とすわけがない。
 するとこれはなんだ?
 キーファは船体から這い出す巨大な人型メカに目を釘付けになっていた。


「なんなんだ? こいつは」
 キーファは煙を上げる強襲型宇宙駆逐艦の船体の巨大な人型メカに気を取られていた。
 見たことがないメカだ。ガルバの戦闘メカに似ているが、識別信号は地球宇宙軍のものだ。同じ人型である地球軍のGF-83という機種とも違う。
 ルーザは偵察用のビデオカメラをズームアップさせた。画面に拡大表示されるとガルバと赤い人型メカと格闘を始めた。
「助けないと」
 キーファは機体を旋回させてトリガーに指をかけた。
 次の瞬間、赤い人型メカはガルバを船体から引き離し、空中に放り投げた。すさまじい速度で後方に飛ばされていくガルバは、途中分解し落下していった。
『支援、感謝する』
 物珍しげに様子を窺うキーファたちに通信が入ってきた。
 人型兵器はキーファ機を見上げている。
「おい、キーファ。セクシーな声だな」
「乗っている奴も同じとは限らないぜ」
「きっと美人だ。間違いない」
「想像力がたくましいよ、お前」
「それより、お前大丈夫か?」
「何がだ」
「分かってるだろ?」
 キーファは操縦桿から右手を離すと見つめた。
「ああ……」
 手の震えもない。気持ちも平静を保っている。
 戦闘の後だってのに……
 不思議だった。戦闘は久し振りではあったが決して簡単な戦術ではなかった筈だ。しかし何の高揚感も湧いてこない。
「こちらブラボーワン。困った時はお互い様さ。それより、艦は大丈夫か? 外から見ると相当やられてるが」
『ガルムどものコントロール下から解放された。辛うじて艦の操舵ができる』
「そいつはいい」
『しかし、ナビゲートシステムが壊れた。誘導を頼みたい、ブラボーワン』
「いいぜ、ついてきな、サジタリウス・レディ。基地まで案内してやる」
 GF-64スラッシャーがサジタリウスの前に出た。
 レーダーに友軍機が映り込む。
 いつの間にか、地球軍の戦闘機が取り囲んでいた。
「おっと、遅い到着だな」
 3機編隊のGF-64がキーファ機の上方に位置した。その一機が降下し、キーファ機の右横に並んだ。
『ふん、ここからは、我々13飛行小隊が引き継ぐ。さっさと基地に帰るといい、キーファ少尉』
 通信が入り、キーファが横を見るとパイロットが中指を立てていた。
「はっ、相変わらずだな。カレン」
『ブラボーワン、お前の機は貴重なテスト機なんだ。言うことを聞け。でなければ私がお前を墜としてやる』
「怖いな、わかったよ。サーティーン・カレン」
 キーファ機がマイアミから離れていく。
 小さくなるマイアミを見つめていると何故か名残惜しくなっていく。キーファは通信のスイッチを入れた。
「こちらブラボーワン、聞こえるか? マイアミ」
 キーファは並んで飛行をしながら通信を続けた。
「助けた礼にそのおかしな兵器の名前を教えてくれ」
 返事は来なかった。
「なんだよ、急に」
 ルーザが眉をしかめた。
「ちょっとした好奇心さ」
 キーファは肩をすくめた。
「たぶん、あれ秘密兵器ってやつだぜ? 俺たちなんかに教えてくれるかよ」
 しかし、しばらくの沈黙の後、サジタリウスから通信が入ってきた。
『これはカリシルアという機体だ』
 さきほどと同じ女の声で通信が入ってきた。
「カリシルア……か。いい名だ」
『ありがとう、ブラボーワン』
「OK、カリシルア。会えてよかったぜ」
 キーファはコクピットの中で敬礼をした後、GF-64のブースターを吹した。
 強襲型宇宙駆逐艦サジタリウスの姿が小さくなっていった。


 
 

カリシリアの戦歌⑤

 破壊されたガルバの機動兵器の破片が地上に落下た。
 しばらくすると地球軍の偵察部隊が落下した残骸を確認すべくやってきた。
 彼らは宇宙航空団所属だが地上部隊の訓練を受けた兵士たちだ。
 装備も地上部隊の兵士たちとほとんど変わらない。違うのは記章と戦闘服のカラーくらいだ。
 兵員を乗せた装甲車が煙が上がっている地点に到着した。
 天井に取り付けられているオート機銃が周囲を警戒しながら左右に動く。
「降車! 降車!」
 後部ハッチが開くと武装した兵士たちが素早く降りていく。
 装甲車の中では兵士たちに取り付けたカメラの映像がディスプレイの中に映し出されていた。部隊の指揮官である少尉が映像を注意深く観て状況を把握しようとしていた。
「10m間隔で展開だ。注意しろ! 機械どもはしぶとい」
 部隊は、軍曹の命令でアサルトライフルを構えた兵士たちは注意深く周囲の偵察を開始した。
 ヘルメットに備え付けられたカメラが熱源を探知した。
「何かある」
 一人の兵士が草むらをかき分け警戒しながら近づいていく。探知した物が肉眼で見える距離まで近づいた時だ。何かが兵士の顔に飛びついた! 叫ぶ暇もなく兵士の意識は遠のいていった。
 カメラの映像が途絶えた事に装甲車内の指揮官が気がついた。
「マーフィーの様子がおかしい! 誰かフォローしろ」
 隣に沿って捜索してた兵士たちがアサルトライフルを構えて倒れた兵士に駆け寄る。助け起こした時、その様子に驚いた。
「な、なんだ? これ」
 顔にへばり付いた機械の一部が首をつたって身体の他の部分に配線が伸びていた。見てるうちにも配線は生き物のように伸び続けている。
 兵士が仲間についている機械を剥がそうとナイフを取り出した。
「今、助けてやる」
 ナイフの刃を近づけた時、強烈な電流が兵士を吹き飛ばした。
「大丈夫か!」
 仲間が駆け寄った時だ。
 木の上から何かが降ってきた。そいつは正確に兵士たちの頭に飛びつくと触手を身体の中に食い込ませていった。
 装甲車内では次々とカメラの映像が途切れてく。
「何が起こってる? 軍曹」
 少尉が呼びかけたが返事は戻ってこなかった。
 装甲車のドライバーがガンカメラで周囲の警戒を強めた時、照準カメラの中に仲間の兵士が映った。肩に仲間を担いでいた。
「負傷らしい。中に入れろ」
 少尉の命令で装甲車の後部ハッチが開けられた。
 その時、中の兵士が目にしたのは体を機械で侵食された仲間の姿だった。
 兵士がハンドガンを抜くが間に合わない。何か得体のしれない機械部品を顔に押し付けられてしまう。
 銃声が装甲車内に響いた。


 ダウンロード中……ダウンロード中……

 頭の中に同じ言葉が響いていた。
 ロン・ルーヴ少尉は、何故そんな言葉が頭にリフレイションしているのか分からなかった。
 最後に覚えているのは何かが顔に飛びついてきたシーンだ。

 ダウンロード完了

 その言葉を最後にルーヴ少尉の意識は完全に消えた。
 やがてブラックアウトした脳が再び活動を始めた時、意識は別のモノに入れ替わっていた。
 この時、宇宙航空軍所属警備隊所属のロン・ルーヴは、消え去っていた。
「ナンバー1、ダウンロード完了」
 装甲車の中で倒れていたルーヴ少尉が立ちあがった。
 落ちてたヘルメットのカメラが姿を映し出しす。ディスプレイに映ったのは変わり果てた指揮官の姿だった。その顔は、まるで砂利の中に落としたアイスクリームの様だ。
 ディスプレイの映像が一斉に復旧した。
 指揮官はヘルメットを拾うと被り直す。
「各員、現状を報告せよ」
 マイクを使って呼びかけるとすぐに返事は帰って来た。
『ナンバー5、ダウンロード完了』
『ナンバー2、ダウンロード完了』
 偵察部隊の人数だけ応答を聞きとった後、指揮官は装甲車のハッチを開けた。
 外では姿の変わってしまった兵士たちが整列している。
「いくつ残った?」
 装甲車から指揮官が言った。
「はい、ギガ。3つが墜落の衝撃で行動不能ですが人間の部隊はすべて乗っ取りました」
「よろしい。残りを回収した後、作戦の第二段階に移る。準備しろ」
 命令を受けた兵士たちは墜落したガルムにいくと、破壊された機体の中からフットボールほどのカプセルを拾いだし始めた。
 バッグを持ってくるとカプセルをその中に詰め始めた。
 やがて全てのカプセルを回収した後、装甲車に乗り込んでいった。
「基地に戻る。連絡しろ」
 指揮官のギガは、そう命令すると部下が通信装置を操作する。
「こちら、ラットパトロール。墜落地点に異状はなし。撤収する」
『コマンド・ワン了解』
 返事はすぐ来た。
 ギガはヘルメットのシールドを下した。不気味な機械の顔がシールドに覆い隠されていく。
 兵士たちの魂は、喰われ尽くしてた。


 
 
 

 

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