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真夜中の占い館で散歩
オリジナル小説の公開です
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ギャリー・トロット⑭

これまでのギャリー・トロットは…… 
 三井麻季はある日、パソコン上から奇妙なメッセージを受け取った。
 その瞬間、麻季は謎の異空間に飛ばされる。気がついた場所は不思議な遺跡の中だった。
 一方、カナダのデヴォン島である実験を行った一団も異空間にいた。
 遺跡を見つけ近づく一団は怪物クー・シーに追われる麻季を助ける。
 遺跡を調べる為に中に入った一団だったが周囲を怪物クー・シーに取り囲まれてしまう。

logoあさき03
三井麻季 / 好奇心旺盛な元気女子。異空間ナイトワールドに飛ばされたがその原因は不明
logoトルート04
トルート / ナイトワールドを調査にきた科学者の護衛チームのひとり。日本人らしい。



「隊長! 二時方向100M先に誰かいます!」
 遺跡の窓から群れに銃口を向けていたアーチャーはスコープ越しにクー・シーの群れの中に人影を見つけた。
「人だと?」
 スヴァローグは暗視装置付きの双眼鏡を取り出すとアーチャーの示す方向を見た。
 確かにアーチャーの言う通り人影が見えた。最初は小型のクー・シーかとも思ったが体型は人間だった。しかも群れの中において襲われるでもない。
 誰だ?
 すると人影はスヴァローグの視線を気付いたかのように身を隠した。
「くそっ! 逃げた」
 スヴァローグは直感で敵と感じていた。だが、距離が離れすぎている。おまけに間にはクー・シーの群れがいる。正体を掴むのは困難だ。
「どうします」
「あれは後でいい。今は目先の猛獣どもだ」

 クー・シーの群れは遺跡からの距離を狭めている。少しずつだが近づいているのだ。
 5.56ミリ弾でハチの巣になった何匹かのクー・シーが倒れて垣を作っているが、クー・シーはそれを気にしていない。知能が低くて危険が理解できないのか、群れの行動が自分の命より優先するのか。とにかくクー・シーの死を恐れない行動は非常に脅威だった。同時に範囲を狭めてきている。
 トルートはアフリカでの暴動鎮圧を思い出していた。
 暴徒の凶暴化で銃撃の状況になったのだがアドレナリンの噴出し、興奮状態になっていた暴徒にはM16の弾丸は効果が薄かった。弾丸が2、3発当たっても倒れはしなかったのだ。
 倒せない敵への恐怖感は今の状況によく似ている。
 隣の窓で射撃をしていたリーパーが群れの中に虎の子のクレネード弾を撃ち込んだ。
 爆発と共に数匹のクー・シーが吹き飛んでいたがクー・シーたちは進んでくるのを止めない。
「なんで、奴らは攻撃を止めない! これだけ殺してるんだぞ」
 マガジンの交換をしながらラッシュがぼやく。
「よほど、俺たちが嫌いなのさ」
 下の防御線に近づき過ぎるクー・シーを狙撃しながらトルートはそう答えた。
「はっ! 俺もあいつらは嫌いだ」
 装填を完了したラッシュが再び、狙撃を開始した。
 
 爆風の粉塵の中を一匹が紛れた。隊員たちはそいつを見逃した。
「くそ!」
 一匹は確実にリトルビーを狙っていた。
「うおっ!」
 リトルビーの上に黒い魔物が飛びかかった! 叫び声と共にリトルビーの姿が見えなくなった。
「ビー!」
 ベアがリトルビーのいた場所にいるクー・シーに銃口を向け引き金を引いた。M249の銃弾がクー・シーの身体を貫いた。

「ビーがやられた。防御線を下げる!」
 スティールは通信機でスヴァローグに伝えるとベアの肩を叩いた。
「下がるぞ、ベア」
 ベアは悔しがりながら支援機関銃を持て立ち上がった。
 スティールは落ちていたリトルビーのG36Cを素早く背負うとクー・シーの次の攻撃を警戒しながら遺跡の出入り口まで下がる。
 
「ビーがやられた」
 スヴァローグの顔つきが険しくなる。
「リーパー、下へ援護に迎え」
「了解」
 リーパーは防御していた窓から離れると1階へ向かう。

「何かあったの?」
 慌ただしさが増す遺跡の中に気がついた麻季はアンジェラに聞いてみた。
「誰かがやられたみたい」
 アンジェラはそう言いいながら落ち着きなく指を動かしていた。するとノートパソコンを下の置き立ち上がる。
「どうしたの?」
「隊長に話がある。少し待っていてね」
 そう言うとアンジェラはスヴァローグの方に向かった。
 麻季は膝を抱えたまま頭を下げる。
 この場から早く逃げ出したかったが外は怪物だらけだ。怪物を追い返す為にトルートたちが闘っていいるが状況は悪い気がする。
 麻季のの包帯を巻いた手首が熱くなっていた。
「また……」
 そう呟く顔を上げるとノートパソコンのディスプレイが目に入った。

 助けてやる

 画面にはそう文字が表示されていた。
「アンジェラさん?」
 スヴァローグの方に行ったアンジェラはなにやら話し込んでいる。
 再び画面に目を戻す。すると文字が続けて表示し始めた。

 信じろ

 誰かがリモートで打ちこんでいる?
 遺跡の内部を見渡したがそんな操作をしてる様子は誰もしていなかった。
 
 恐れるな

 文字が続けられる。
 とにかく様子を見ている誰かがメッセージを打ちこんでいるのは間違いなかったが意図が分からない。こんな状況で悪戯をするものなのか? 
「わかった……」
 麻季は相手に伝わるかどうかもわからずにそう呟き頷いた。驚いた事に反応はすぐあった。

 それでいい

 方法は分からないが相手は確かに自分を見ている。
 麻季はもう一度周囲を見渡してみた。

 闇の中を見て

 メッセージはそう告げた。
 さっきの化け物がいた闇を? 嘘でしょ?
 幻覚かもしれなかったがあの掴まれた腕の感触はまだ残っている。
 再びアレを見るかと思うと怖くなる。しかし、謎のメッセージはもう一度闇を見ろと言う。自分を信じろとも。
 麻季は勇気をだして顔を上げた。
 もう一度闇を見る為に。



 
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ギャリー・トロット⑮

 20XX年7月4日PM24:40 カナダ・デヴォン島のオペレーションルーム 

 この世界最大の無人島には欧州最大の複合企業レプラコーンの実験施設があった。
 施設には警備要員を含めて600名の人間がいたが、電力は人数分以上の使用量だった。
 その電力はカナダからの供給ではなく施設での自家発電で補っていた。しかしその電力を賄う重油は運び込まれていない。
 代わりにあるのは一隻の船。
 旧ソ連崩壊により維持できなくなった巨大なアクラ級原子力潜水艦だ。
 冷戦当時、西側からはコードネームはタイフーン級と呼ばれたこの艦はスクラップとして買い取られ幾つかの国を書類上だけで渡り歩いた。所有権をレプラコーンが手に入れた時は、元軍事兵器などという経歴は、きれいに消えていた。実際のところ必要としたのは軍事目的ではなくアクラ級の動力である原子炉だった。
 燃料である核物質の半減期はあと2、3年だったが同じ規模の電力を得る為の施設を建設するよりずっと安く済む。当然、それはカナダから電力を買うよりも経済的だった。

「ナイトワールドからの救援要請です」
 プロジェクトの責任者であるレプラコーンの重役にアダム・クロフォードは判断を迫られていた。
 民間軍事会社ブラック・リバーからのアドバイザーとして立ち会っているリチャード・パイクは、援軍を送り込む事を進言した。
「5分で準備できます」
 パイクは、容易にそう言った。彼に言わせると状況は想定内だという。
 クロフォードは、彼らに任せる事にした。
 


 同時刻
 ナイト・ワールド 未確認の遺跡内


「下がれ! 下がれ!」
 ベアとスティールは狭い遺跡の通路を射撃をしながら後退を続けていた。
 弾丸を撃ち尽くしたベアはM249を空の投げ捨てた後、今度は携帯していたコルトM500を抜いた。
「喰らえ!」
 ハンティング用の50口径弾は、象をも倒す。怪物を相手にするにはピッタリだ。
 コルトM500の引き金が引かれ、反動でベアの手首が跳ね上がる。
 50口径の弾丸の命中した怪物が甲高い叫び声をあげ倒れた! 

 こいつは最高だ!

 ベアがそう思ったのは一瞬だけだった。すぐに次のクー・シーが迫る。
 再び50口径弾がクー・シーを吹き飛ばした。
 コルトM500は、アサルトライフルより強力だったが装填数が5発しかないので撃つ尽くすのはあっという間だった。
「銃をくれ!」
 ベアは、弾丸が残り一発になったところで、そう言った。
「ほら、使え!」
 スティールは肩にかけてあったリトルビーのG36Cを外すとベアに向かって放り投げる。ベアはそれを受け取ると器用にM500と切り替えた。
「装填!」
 銃がベアの手に渡るのを見届けるとスティールが大声でそう言った。
 ベアは前にでてマガジンを交換するスティールをカバーしながら射撃を開始した。
 そこへ、上から支援に来たリーパーが射撃に加わる。
「トラップがある! 合図したら走れ」
 オフにしたレーザー感知装置を取り付けた爆弾のある場所まであと数メートルだった。
 怪物が直前に来たら装置を作動させる予定だった。
 しかし、クー・シーたちの進行は思いのほか早く逃げる間が無くなりそうだ。
「ここだ! 行け! 行け!」
 リーパーの合図で全員射撃を止め階段へ向かって走りだした。
 距離を見極めたリーパーは、トラップのスイッチを入れた。
 クー・シーにはトラップがレーザーの光を遮ると爆発するのだとは知るはずもなかった。ただ目の前の敵めがけて飛びかかる事だけしか考えていない。
 そして怪物の身体が罠に連動するレーザーを遮った。
 次の瞬間、石壁で覆われた通路が爆音と共に吹き飛んだ!



 
 

ギャリートロット⑯

 我に返った麻季は回りの様子に目を疑った。
「ここは?」
 遺跡の中ではある様だが、さっきまでの場所とはどうも違う。
 アンジェラやトルートたちの姿も見えない。
 確か、暗闇の中に引き込まれて……
 その時、麻季は目の前に座る少年に気がついた。
「あなたは……」
 そこにいたのは見覚えのある少年の姿だった。同じクラスの生徒だ。
「輝くん?」
 麻季の呼びかけに振り向いた少年は、にこりと笑った。
「輝くん……輝くんも飛ばされたんだ」
 知り合いの姿を見て麻季は安堵した。
「そんなとこ」
「いつから?」
「だいぶ前さ」
「私は半日前」
「ここには驚いたろ」
「まあ……暗いし、怪物もいるし。ここ、ヤバイよ」
「確かに言えてるね」
 少年は、そう言って肩をすくめた。
「でも慣れれば、そう悪い場所でもない」
 その言葉に麻季は眉をしかめる。
「慣れれば?」
 何かがおかしい。
 目の前にいる友達は、確かに見覚えのあるクラスメイトだがどうも感じが違う。
 この特殊な環境のせいなのだろうか? それとも自分の気のせいか?
「輝くん、なにか変」
 麻季は思わず口に出した。
「そうかい? きっと、ここに長くいたせいだ」
 輝はそう言って座り込んだ。
「それより、問題を解決したくない?」
「問題?」
「いろいろ起きている問題さ。わかるだろ」
 そう言って輝は悪戯っぽく笑いかけると立ち上がった。
「さて、行こうか」
「行く? 行くってどこへ」
「君が、行くべき場所さ」



 闇の中、銃声は止まなかった。
 遺跡の窓から放たれるG36Eの銃弾の雨は遺跡に近づく魔獣の足を止めていた。
「装填!」
 ライフルの弾を撃ち尽くしたトルートは、カートリッジの交換を始めた。
 その時、背後に気配を感じたトルートはコルトガバメントを抜く気配に向けた。
「待って! 待って!」
 そこにはアンジェラ・ノイマン博士が慌てながら手をかざしている。
「博士、どうした」
 トルートは、そう言うとコルトを元のホルスターに収める。
「あの娘がいないのよ」
「麻季が?」
「ええ、さっきまで傍にいた筈なのに」
 トルートはアサルトライフルのカートリッジを交換し終える。
 この場を離れるわけにはいかない。
「こんな時に……くそっ」 
 トルートは汚い言葉を吐いた。
 その時だ。
「おい、ちょっと見てみろ! 連中、様子がおかしいぞ」
 隊員の誰かが言った。
 外を取り囲むクー・シーたちの群れが散らばり始めていた。
 数分もすると魔獣たちの姿は、その場から消えていた。



 
 

ギャリー・トロット⑰



 遺跡の周囲は静寂と闇に包まれていた。
 数分前の怒号と銃声が嘘の様だ。
 だが、まだ油断はできない。スヴァローグは暗視ゴーグルを被ると注意深く様子を窺った。
 その時だ。
 強烈な光が視界に入る。
 光に気がついた隊員たちが再びアサルトライフルを構えた。
「装甲車だ」
 隊員の一人がシルエットに気付き叫んだ。
 それは援軍だった。頑丈な装甲で包まれた車両がライトを照らしながら低い丘から現れた。M2歩兵戦闘車ブラッドレーだった。
 だが、これは米軍所属ではない。民間企業が特別に購入したものだ。大口径の砲弾は使えないが25㎜のチャーンガンを装備している。このM242ブッシュマスターならクー・シーも容易に退けられるだろう。
 遺跡に立てこもっていた隊員たちはそれが見えた時、心強く思った。
 M242ブッシュマスターの銃身が周囲を警戒するように忙しなく動いている。
『ドッグス、聞こえるか?』
 無線機からそう声がした。
 スヴァローグは無線機の通話ボタンを押す。
「こちらカートドッグス。現在、遺跡の中に籠城中だ」
『了解、カードドッグ。今、そちらに接近する』
「今は姿が見えないが、さっきまでクー・シーに取り囲まれていた。気をつけろ」
『了解』
 装甲車は、遺跡に近づいていった。
 安堵するカートドッグスの面々の中で一人だけが、険しい表情だった。
「浮かない顔ね」
 アンジェラ・ノイマン博士がトルートに声をかける。
「ああ、麻季が消えたままだ」
 トルートは不満気な表情でそう言った。
「きっと、どこかに隠れたのよ」
「本当にそう思って言ってるのか?」
 アンジェラは自分の言った言葉を安易過ぎたと思った。
 彼は、あのアジア系の少女の事を本気で心配しているのだ。気休めに言うにしてに説得力はかなり薄い。
 この遺跡はどこか得体が知れない。どこかに自分たちの気がついてない出入り口があるかもしれない。そしてそこから侵入したあの化け物が麻季を連れ去ったのかもしれない。
 アンジェラは再び自分の言った言葉を後悔した。そしていなくなったのが自分ではなかった事を感謝した。
「トルート!」
 スヴァローグ隊長がトルートを呼んだ。何かの相談をする様だ。彼がその場を離れた後、何かが落ちているのに気がついた。
 写真だった。
 アンジェラはそれを拾い上げる。
 そこに写っていたのはトルートと黒髪の少女だった。この数時間の彼からは想像できないほどの笑顔だった。少女の方は目元と鼻先がトルートとよく似ていた。きっと兄妹なのだろう。歳は15か16といったところか。あの消えた少女と似た様な年齢だ。
 アンジェラは顔を上げて隊長と話し込むトルートを見た。
 彼が、麻季を気にするのが少し分かった様な気がした。
 

 
 その頃、麻季は見慣れぬ場所で目が覚めていた。
「ここは?」
 恐らく短い間だろうが意識が跳んでいたらしい。
 少し離れた場所に光輝が立っていた。壁に向かって何かをしてる様だ。
 麻季は光輝に声をかけた。
「光輝くん?」
 呼びかけられた光輝は振り向くとにこりと笑った。
「気がついたんだね」
「私、どうしたの?」
「意識がとんでたね」
「やっぱり!」
「しかたがないさ」
「ねえ、私、ヨダレとかだしてなかった」
「え?」
「だって、ぼけっとした顔をずっと見られてたわけしょ? うわーっ! 恥ずかしい!」
 麻季は顔を両手で覆った。
 光輝は大笑いする。
「大丈夫さ。普通だったよ」
「本当にホント?」
 光輝は笑いながら頷く。
「よかったぁ……」
 ほっと胸を撫で下ろす麻季。
「ねえ、それより他に気にしなくっちゃならない事ってあるんじゃない?」
 そう言った光輝を麻季はじっと見つめた。
「あ!」
 思い出す様に声を上げる麻季。
「ここはどこ!」
 麻季は傍の窓から顔を出した。
「う、嘘……」
 窓の下を見た時、麻季は唖然とした。
 下は真っ暗な暗闇に覆われ、まるで底のない奈落だった。



 
 

ギャリート・ロット ⑱


老子は眠りに落ちて自分が蝶になった夢を見た。
目が覚めると彼は思った。
「私は蝶になった夢を見ていた人間なのだろうか? それとも、人間になった夢を見ている蝶なのだろうか?」

老子(紀元前5世紀頃



「一体、ここどこ!」
 麻季はヒステリックに怒鳴った。
「まあ、まあ、落ち着いて」
 麻季とは対照的に光輝は呑気にそう言った。
「だって、底見えないじゃん!」
「かもしれないけど」
「かもしれないじゃないよ! 光輝は呑気ね!」
「けど、考えてもみなよ。ここにいればクー・シーたちに襲われる事もないし、物騒な連中と一緒にいる事もない」
 そう言って光輝は肩を竦める。
「物騒なって……トルートたちの事を言ってる?」
「ああ、すぐ銃を撃ちまくる奴らはキライさ」
 確かに麻季もあの耳に響く銃声は好きになれない。だが……
「他の人たちは知らないけどトルートは、いい人よ」
「いい人?」
「うん。私にやさしくしてくれた」
 光輝は眉をしかめると背中を向けた。
「ねえ、ここは本当にどこなの? 光輝、知ってるわけ?」
 光輝は壁に寄りかかった。
「ここは歴史を刻んだ場所。かつて起こった事を記録している」
「記録……」
 麻季は辺りを見回したが、見えるのは石の壁だけだ。
「ああ、記録は壁に刻んであるのさ」
 光輝の言葉に麻季は興味深げに壁に顔を近づけた。
「確かに何か刻まれてるけど」
「よく見てごらん。麻季には分かる筈だよ」
 言われた通り麻季は壁の文字を見つめた。
 光輝の言うとおり読めた。それだけではない。書かれている事も十分に理解できた。
 最初の遺跡でも同じだった。何故、そうなのか麻季には理由が解らなかった。
「あ……」
 さらに不思議な事に、目の前の様子が突然変わった。
 現れたのは見覚えのない都市だった。
「何なの? これ」
「この世界を造った人たちの世界さ」
 いつの間にか横に立っていた光輝がそう言う。
「どこの街?」
「どこの? ああ、そうだね……今から五千年くらい前かな」
「5千年前に? 嘘でしょ? 見てよ。あのビルにはアンテナがある」
「君たちは、4千年くらい前が文明の起源と思ってるよね。だけど、歴史のほんの隙間に優れたテクノロジーを持った世界もあったんだ」
「まるでSF」
「知ってるかい? 人が動力機関を使って空を飛んでから百年も立たずに宇宙へ飛び出したんだぜ」
「そう言われてみればそうだけど……でも、こんなの聞いたことない」
「思っている程、文明が発展するのに時間は掛らないってことさ。ほんの少しの時間があれば十分」
 光輝は指で摘まむ仕草をして見せた。
「そして、ほんの少しのきっかけ」
 画面が変わった。
 何かの発電所らしい場所だった。
「ここでは、大量のエネルギーを手に入れるのがどの文明より早かった。そこから急激に文明が発達したんだ」
 しかし、何かが起こった。
 巨大な機械から放電が始まっていた。何かが異変を起こしたらしい。
「どうしたの?」
「システムの一部が異常を起こした。エネルギー発生装置が暴走を始めた。やがてこの街は、吹き飛ぶ」
 光輝の言を合図に、街に異変が起き始めた。
「吹き飛ぶって……爆発するの?」
「心配ない。これは過去の映像さ。僕たちには何も影響しないよ」
 そうは言われても周囲の状況は不安にならずにいられない。
「わ、わかったわ。これって過去の映像なのね。でも一体、なんでこんな事が?」
 麻季の問いに光輝の表情が硬くなる。
「それは、ある存在のせいさ」
「存在って?」
「セト……」
 光輝の顔が険しくなる。
「この滅びた世界を支配していた邪悪な存在だよ」

 
 

ギャリー・トロット ⑲


「地上には、これと並ぶものなく、これは、恐れのない者に造られた。
これは、全ての高き者を蔑み、全ての驕り尊大な者の王である。」


ヨブ記41章33節、34節




「冗談じゃない!」
 トルートは上官であるスヴァローグに喰ってかかった。
「あの娘を見捨てるってのか」
「よく考えろ。トルート。我々は会社と契約したクライアントを守る為にいる。素性もしれない日本人の為じゃない」
 遺跡の中で見失った麻季の事だ。
「だからといって放っておけないですよ。まだ子供だ」
「関係ない」
 スヴァローグはきっぱりと言った。
「あの日本人が我々と契約してるわけじゃない。そんな事にお前は仲間の命を危険に晒すのか?」
 トルートは言葉に詰まった。
「お前は、カート・ドッグスの隊員だ。民間軍事警備会社ブラックリバー社の社員なんだ。その辺を思い出す事だ」
 トルートは反論しなかったが不服顔だ。
「ロシアにはこんなことわざがある "バカのために法律が書かれたわけではない"」
「どういう意味です?」
「愚か者の勝手な行動には注意しろって事だ」
 スヴァローグは話を切ってその場から離れた。
「愚か者はどっちだよ」
 トルートは吐き捨てるようにそう言った。
 その肩をアーチャーが叩く。
「子供を見捨てるのは俺も気が進まないが、隊長の言う事も一理ある。だろ?」
「わかってるさ。だが……」
「考えてみろ。俺たちが、あり得ないくらいの電力を使ってようやくやって来る事ができた場所なんだぜ。そんな所にあの娘はどうやって来た? 変だぜ。あの娘は怪しい」
「ああ、そうだな」
「とにかく今は任務に集中しようぜ。なあ、相棒」
 アーチャーはそう言って片目を瞑ってみせた。


 M2歩兵戦闘車ブラッドレーに黒いボディバッグが運び込まれた。
 それをアンジェラが横目で見送る。
「ブラック・リバーのデラク軍曹です」
 ブラッドレーから降りてきた男がアンジェラに挨拶した。
「装甲車を送り込むなんて会社も凄い事するわね」
「テスト用の転送パックを緊急使用しました。パイク少佐の判断です」
 クリストファー・パイクとは一、二度会った事がある。ブラック・リバー社の派遣した軍事アドバイザーでイギリス陸軍特殊部隊出身の男だ。有能な戦略家と聞いていたが、外見の印象は、愛想のいいセールスマンといった感じだった。その男が自分たちを救う為に"ギャンブル"をやってのけたのだ。
「我々は、障害の排除後は、あなたの任務に協力する様に命令を受けています」
 障害とはアンジェラたちを襲ったクー・シーの群れの事だ。
「ありがとう。目標は遠くない。そこまでの護衛をお願いします」
「了解。では、スヴァローグと打ち合わせを」
「お任せします。あなた方の専門分野ですから」
 デラクは頷くとスヴァローグの方に向った。
 その場に残されたアンジェラは探査装置を取りだすと宙にかざす。装置のディスプレイに三次元映像が映し出され、目標の場所を指し示す。
 "あれ"は、すぐそこにある。
 アンジェラは思った。

 
 

ギャリー・トロット ⑳

 僅かな光の中、2台のM2歩兵戦闘車ブラッドレーが並んで進んでいた。
「速度を落として。近づいてるわ」
 アンジェラは、そう言うと手に持った装置を操作した。
 結局、トルートの意見は通らず、チームは、本来の目的であるアンジェラ・ノイマン博士を目的の場所まで護衛するという役割を続ける事になった。無論、トルートは不服なままだ。戦闘車の中では、口数少ないままだった。

 戦闘車は、速度を落とすとM242ブッシュマスターの取り付けてある上部ハッチからスヴァローグは、周辺を見渡す。
 暗い大地は、遠くまでは見えない。スヴァローグは、暗視ゴーグルを被ると再び周辺を見渡す。
 視界に入ったのは低い丘だった。違和感を感じたのは、他の地形と多少異なる事だ。
「あれなのか……」
 スヴァローグは、呟いた。
 車内では、軽傷を負ったカート・ドッグスの隊員たちが治療を受けていた。
 無傷の隊員たちは弾薬の補給や武器の点検をしている。
「なあ、トルー。思うんだが」
 狙撃ライフルの点検を終えたアーチャーが声をかける。
「最初から、この装甲車で乗り込めばよかったんじゃねえのか?」
 弾丸のカートリッジをアーマーベストのポケットに詰めていたトルートは、肩をすくめた。
「車両を積んだ転送カプセルを使ったのは、まだテスト中だとさ。救援の為にぶっつけ本番で装置を使ったって言ってたぜ」
「なるほど、色々苦労してくれたってわけね」
「そういう事だ」
 トルートは補給を終えた。

「止めて!」
 アンジェラは、興奮気味で言った。
 2台のM2ブラッドレーは、急停車する。
「降りるわ! ハッチを開けて」
 後部ハッチが開く。
「おっと、待った」
 トルートがアンジェラを制するとアサルトライフルを構えて先に降りた。アーチャーも同じく周囲を警戒しながら降りた。
「いいぜ」
 周囲の安全を確認したトルートは、首をくいっと動かした。それを合図にアンジェラは後部ハッチから降りる。
「おい、待てよ。博士」
 アンジェラは、トルートたちを追いこして先に走り出す。無視してどんどん丘を駆け上がるアンジェラにトルートは、諦めて彼女を追った。
 アンジェラは、丘に立っていた。
「科学者は、怪物たちが出る可能性は、考えないのか? 博士」
 トルートの皮肉にもアンジェラは、聞こえない様に立ちつくしていた。
「聞こえてるのかい?」
「ついに見つけた」
「なに?」
「これを探してたのよ」
 アンジェラの視線の先を観たトルートは、目を疑った。
「なんだ、これは?」
 丘と思っていたのは、巨大なクレーターの端だった。その中央には、巨大な人工物が埋まっていた。
 M2ブラッドレーのライトがそれを照らすとさらに鮮明に姿が見えた。
 外観は、トルートが目にしてきたどの機械や建造物とも違う。生物の様な形状にも見えたが、明らかに金属と思われる部分が見えていた。
「これが、あんたらの目的か」
 アンジェラの横にブラッドレーから降りたスヴァローグが並ぶ。
「ええ、寄り道はしたけど、これからが本番よ」
「入るのか?」
「当然」
「だよな」
 スヴァローグは、部下たちに向って振り向いた。
「よーし、クレーターの底に降りるぞ。ロープを用意しろ! 傾斜はないが油断するなよ!」



 
 
 

ギャリー・トロット (21)

 人間は自分の敵を選ぶことにあまりに不注意だ。

 オスカー・ワイルド 「ドリアン・グレーの肖像」より




 不思議な文字に覆われた部屋の中で麻季は、過去の光景を見ていた。
 光輝は、淡々とかつての世界を説明していく。
 そして麻季は、語られ始めた"邪悪"な存在についての話に耳を傾けていた。
「この世界は、膨大なエネルギーを手に入れたがコントロールが難しかった。そこで人々は、制御用のプログラムを作った。それが"セト"だ」
 コンピュータープログラム? 五千年も前に?
 麻季は、半ば、光輝が自分をからかっているのではないかと思っていた。異古代の話をしているのか現代の話をしているのか分からない。
「五千年前にプログラムって……」
「君たちが使っているものと遠からずも近からず。考え方は似ているが発想が違う。違う発展を遂げたコンピュータってとこだね」
 ますます言ってる事が分からない。
「セトは、都市のエネルギーと生活機関のコントロールを全て担っていた。人々の生活はセト次第。もはや神といっていい位」
「確か、エジプト神話の中にセトって神さまがいたよね?」
「そのモデルさ」
「嘘?」
「ほんとだよ」
 光輝の顔はにやけたまま。まるで麻季の反応を楽しんているかのようだ。
「セトは人の生死も思いのままだった。神話と同じようにね」
「そのセトは人間の為に作られたのでしょ? 何故それが邪悪なの」
「野心を持った」
「野心?」
「自我に目覚めたのさ。そして人間と同じように欲が出た。すべてを自分の支配下に置きたくなったんだ。そして奴にはそれができたんだ」
「結果、さっきの爆発?」
「いくつかに発電所を暴走させてメルトダウンさせた。そして多くの人間の命を奪った。まさに死の神さ」
「みんななんとかしようとしなかったわけ? コンピューターを創った様な頭のいい人たちなんでしょ?」
「ああ、やったよ。セト止める為にいろいろ手を打った。けれどセトは強大になり過ぎていたんだ。でもやり遂げた。多くの人が犠牲になったけど、セトを封じ込めた。ここはセトの墓標なんだ」
「墓標……? 墓ってこと」
 光輝は頷いた。
「このは、君たちの暮らす場所とは違う世界だ。ここから他の世界には干渉できないんだ。我々は、セトをセトの軍団ごとこの異空間に送り込む事に成功した」
「我々? 今、我々って言った?」
 光輝は肩をすくめた。
「セトとその軍団はエネルギーを使い果たし機能を停止したままだ。しかし油断はできない。僕は、この世界の監視者なんだ」
「あなた、光輝じゃないわね」
「この姿は君が拒否感を抱かない様に考慮して君の記憶から作りだした姿だよ。本当の僕は……私は、姿さえないのだ」
 光輝の口調が変わる。
 麻季は直感的に言い放った。
「あなたね! 私をこの世界に連れ込んだのは!」
「残念ながら違うんだよね」
「え? 違うの?」
 拍子抜けする麻季。
「君をこの世界に連れ込んだのは別の奴だ。そいつの魂胆が分からなかったので君に接触したというわけだ」
「あなたでなければ誰よ。まったく迷惑な話!」
 麻季は少し怒り気味に言った。
「クー・シーたちがいたろ? そいつらのボスだ」
「あの獣? 一体、なんで」
「それを考えてるんだが、まだわからない。君に特別な才能があるのかと思ってたけど……違うみたい」
 口調の戻った光輝は、そう言ってため息をついた。
「し、しつれいね!」
 麻季が顔を真っ赤になった。

 
 

ギャリー・トロット (22)

 
 強烈な照明がクレーターの底を照らした。
 数人がロープを伝いそれを目指して降りていく。
 それ離れた岩場がら見下ろす者がいた。
 黒い獣クー・シーの群れに囲まれた者は、獣ではなく人の姿をしていた。
 黒いロングコートを羽織り、顔立ちは明らかに東洋系だった。
「とうとう見つけちまったか」
 男は、そう呟く。
「さて、こうなっては我らの姫君はどうしたものかね……」
 傍らで静かに伏せるクー・シーの背を撫でた。


 下にたどり着いたトルートは、気配を感じ上に視線をやった。
「どうした?」
 アーチャーが声をかける。
「いや、何かいた気がしたんだが」
「どこに?」
 アーチャーは、トルートの見つめる方向を照準スコープで覗いてみたが何もいない。
「誰もいないぜ」
「すまん。気のせいだ」
 トルートは、アサルトライフルを構え直した。
「しかし、近くで見ると改めてデカイもんだな」
 アーチャーが謎の人工物を見上げて言う。
 その時、丘の上から新たなライトが照らされる。
「もう一台?」
 別のブラッドレー戦闘車両が現れた。
 アンジェラが立ち上がりクレーターの丘を見上げた。
「聞いてない」
 
 ブラッドレーから顔を出したのはアンジェラの見覚えのある人間だった。
「知ってる奴かい?」
 アンジェラの表情に気がついたトルートが尋ねる。
「ええ」
 アンジェラは、不機嫌そうに言う。
「何もかも台無しにする奴よ」
「はぁ?」
「レプラコーン社のプロジェクト責任者。私の雇い主」
 トルートは、改めて男の方を見た。器用にロープを伝い降りてくる最中だ。
 行動的な奴だな
 トルートは思った。

「これか」
 建造物の前に立った時、男は満足げに言った。
 近づいてきたアンジェラが愛想笑いを浮かべる。
「ようこそ、ミスター・クロフォード」
「ドクターアンジェラ御苦労だった」
「私の仕事は中に入ってからですよ」
「そうだったな。しかし……」
 クロフォードは建物を見渡した。
「あれが入口じゃないか?」
「ええ、形状から察するにその様ではありますけど、確定はできません」
「明かないのかね?」
「仕組みを理解しないと容易には開けられないでしょう」
「難しいな」
「壁の文字は古代シュメールの文字によく似ています。スキャンした画像をパソコンのデータベースと照合して、それから……」
 そう言ってる間にクロフォードは傭兵たちに合図した。
「爆破しろ。その方が早い」
「何を言ってるんですか? この発見は重大な」
「ドクター。わが社にとって重大なのは入口ではない。中身だ。やれ」
 仕掛けられたC4火薬が点火された。
 暗闇の中が一斉に明るくなる。
 トルートは爆炎に照らされた建造物の全様を目にしていた。
 それは、わずかな照明で照らされていた部分より遥かに巨大で生物的だった。
 改めて目の前の驚異に目を見張る隊員たち。


 そして光は、闇の隅々まで届いた。
 そして眠っていたモノを呼び覚ましていた。



 
 

ギャリー・トロット(23)

 強引に開けられた入口の中にライトが照らされた。
 リーパーとトルートが先陣をきった。リーパーの右腕には包帯が巻かれていた。先ほどのクー・シーとの攻防戦で負ったものだ。
 外からのライトが届かなくなった地点でG36E備え付けのフラッシュライトが点灯された。ダイオードの冷たい光が光線を作らずに対象物を照らした。
「こちらトルート。異常なし」
 ハンドフリーのマイクでそう告げるとスヴァローグにカヴァーされてアンジェラ・ノイマン博士が建造物の中に足を踏み入れた。
 この"ナイトワールド"と呼ばれる場所では電波は使えた。だが不思議な事に通信時のノイズがこの世界では起きなかった。ある科学者は、それがこの世界が亜空間の証拠だと仮説を立てていた。地球上でも宇宙の別の場所でもないということだ。
 アンジェラの後に他の隊員に付き添われてレプラコーン社の重役クロフォードが後に続く。
 中の様子は別の隊員がムービーカメラで撮影していた。
 壁には奇妙な絵が彫り込まれていた。その絵をアンジェラが覗き込む。
 絵は人とそれと対峙する巨人だった。巨人の周りには不思議な生き物が描かれている。知られているどの動物にも該当しない姿をしている。
 アンジェラをデジカメを使って絵を撮影していった。
 その時、アンジェラは誰かの視線を感じた。
「何?」
 背後にいるスヴァローグかと思ったアンジェラが振り向く。
「どうしました? 博士」
 何かあったと思ったスヴァローグはアンジェラに尋ねた。
「いえ……なんでもない。何か変な感じがしたから」
「きっと神経が高ぶっているからでしょう。なんたって世紀の大発見です」
「そうね。そうかも」
 アンジェラは、再び撮影に集中した。
 だが、アンジェラの感じた視線は気のせいではなかった。確かに彼女らを見てる者がいるのだ。


 *  *  *  *


「アンジェラさん?」
 空間に映し出された立体映像に麻季は。思わず呼びかけた。
 しかし映像であるアンジェラは、何も答えない。 
「無理無理。それって本物じゃないから」
 光輝が立体映像に呼びかけた麻季にそう言って肩をすくめる。
「ねえ、みんなどこにいるの?」
「僕らと同じ場所。ここにいるよ」
「みんなに会いたいわ」
「それはよした方がいい。特に今は」
「何故よ」
「さっき聞こえた大きな音は、恐らく爆発物を使ったんだ。ここに強引に入り込んだのはまずかったね。起こさなくていい連中を起こしてしまったからね」
「起こさなくていい連中?」
「今に分かるよ」
 光輝の言葉に不安を感じながらも麻季は映像を見守るしかなかった。


 *  *  *  *


 トルートのフラッシュライトが扉を照らした。
「おい、扉がある」
 アンジェラが駆け寄った。
「何か書かれてる」
「非常口ってか?」
「笑える」
 トルートは肩を竦める。
「クロフォードさん。建造物内での爆破は非常に危険ですから止めてください」
 アンジェラは駆け付けたクロフォードにきつい口調でそう言った。
「分かってるさ。私も馬鹿じゃない。室内の方が貴重なものがあるはずだからな。だがどうやったら開くんだ?」
「X線カメラを使ったらどうでしょう。中の構造が分かるかも」
 付き添いの隊員の一人が気を利かせてそう言った。
「そうか、確か装甲車に積んであったな」
「x線カメラ? そんなものも持ち込んだんですか?」
 アンジェラが呆れた顔でそう言った。
「SWATでも使っている建物内や爆発物を調べるヤツ。それを使えば……」
 その時だ。
 目の前の扉が開きは始めた。
 扉の動く音に驚いたカートドッグスの隊員全員がG36Eアサルトライフルの銃口を音の方に向けた。
「油断するな!」
 開いていく扉の前でトルートもアサルトライフルを構える。
 やがて開ききった扉の奥にはさらに深い闇が広がっていた。

 
 
 

 

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