真夜中の占い館で散歩
オリジナル小説の公開です
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月夜の晩に君と踊ろう⑩

10、処刑場の狼
(4稿目)



 その日の城内は殺気立っていた――
 城の門が閉められ城壁の中は簡易闘技場と化した。城壁の上は民衆にも開放され大勢の野次馬が集まっている。これに乗じて商売しようと物売りまで現れる騒ぎだ。

 まるでお祭りね

 部屋の窓から外を見たキーラはそう思った。
 その時、ノックの音がする。
「キーラ様、お時間です!」
 返事をしたキーラに王様配下の兵士が時間を告げる。
「わかったわ。今行く」
 そう言って部屋を出たキーラを待ち構えていたのはジェエールだった。
 ジュエールは、心配そうな顔でキーラを見つめる。
「何、ジュエール。ライカンがそんなに心配?」
「いえ! 心配なのはお姉さまです! ライカンは共謀な怪物。キーラお姉さまが奇妙な剣術を使うといっても女の身では無茶ですよ!」
 キーラはジュエールの唇に指を当て言葉をさえぎった。その真剣な瞳になぜかドキリとするジュール。
「心配しないで、ジュエール。私は魔法使いよ」
「そうですけど……でも」
「とにかく私に任せて!」
 不安げなジュエールにキーラは親指を立て見せた。



 盛り上がる簡易闘技場――
 展覧場に王様が姿を現した時に城内のボルテージは上がった。
「只今より、世を騒がした邪悪な獣に捌きを与える!」
 歓声が上がる。
 道化師が柵のの上に飛び乗った!
 身軽な動きで飛び跳ねると手を大きく広げて集まった民衆に叫び始めた。
「地獄より這いだし美しきジュエール姫を狙い続けた獣! その悪行が裁かれる時がきた! お集まりの紳士淑女諸君! いよいよ登場だ! 地獄の獣! 邪悪の化身! ラーぁぁイカン・スロープううう!」 
 太鼓が鳴り響くと数十人の兵士に槍を突きつけられた鎖に繋がれたライカンが現れた。
 その凶暴な姿を観てどよめきが起きる。
「続いてはその獣に制裁を加えるべく処刑人の登場だ! 蒼い衣をまとい、正義の為に立ち上がった美しき戦士! 蒼い魔法使い! キーぃぃぃラ・ズム・マジョルカぁぁぁ!」
 キーラが門から登場した。紙吹雪が舞った。歓声もさらにヒートアップしていく!
 目の前ではキーラを見つけたライカンが威嚇を始めた。キーラはその前に立つと上下両刃の剣を出した。
 敵意をむき出しにしたライカンはキーラに襲い掛かろうとした。鎖を持った兵士たちが引きづられていく。
「や、やばい……」
 焦り始める鎖を掴んだ兵士たち。
「いいわ、始めちゃって」
 その合図でライカンをつないだ鎖が外された。鎖を持っていた兵士達は急いでそばから離れていった。
 ブーメラン型の刀を構えるキーラ。柄の部分が外れて二つの刀となった。
「あんたも苦労してるわね。でも今、楽にしてあげる」
 ライカンが牙をむき出しにして飛びかかった! その場を飛び上がるキーラは空中で回転するとライカンの背後に降り立った。
「少し、痛いけどごめんね」
 キーラの刀が目にも止まらぬ速さでライカンの背中を切り裂いた。
 ライカンがその場に倒れる。
  野次馬の民衆たちにどよめきが起こる。
 キーラは構えを解き無防備に立ち上がった。
 歓声が湧いた。
 倒れているライカンにゆっくりと近づいていくキーラ。
 ライカンは僅かに動いていた。
 だがキーラはとどめも刺さずに剣を収めてしまう。
 様子を把握できずにいる城内が次第に騒ぎだしてきた。王様も戦意を見せないキーラにしびれを切らした。
「どうした! とどめは? とどめ」
 それつられて民衆からも「とどめ」コールが起きだした。中にはキーラに罵声を浴びせる者も現れた。
 城内を見渡したキーラは手に持った剣を高く突き上げた!
「黙れぇ!」
 その大声に群衆が静まり返った。
「処刑はしない!」
 その言葉にざわめく城内。王様も思わず立ち上がった。
「キーラ殿! 死刑執行を申し出たのはそなた自らではないか。そのライカンの首を×××× (※自主規制)して手足を××××(※自主規制)してやると言ったではないか! それができないとはどういうわけだ?」
 キーラはにやりと笑った。
「私はライカンを処刑すると言ったのです。ですが、今そこにいるのはライカンではございません!」
 キーラは背中の毛皮を切り取られうずくまるライカンを指差した。
「そこにいるのは人間です!」
 王様は怒りを露わにして怒鳴り始めた。
「そいつのどこが人間だ! 早くそのライカン殺してしまえ」
 怒る王様を尻目にキーラはライカンに近づくと頭を掴んで思いきりひぱった。
 群衆がざわめき始めた。
 キーラが手に持っていたのは狼の毛皮だった。その下には長髪の若者がうずくまっていたのである。
「人間だぞ、おい、おれ人間だ」
「なんだよ、ライカンじゃないのか?」
 闘技場内を見守る人たちは口々に言う。
 ライカンだったはずの若者は上半身裸のままで疲れきった顔を上げた。
 その顔を見たジュエールは魂が口から飛び出るほど驚いた。
「ブリリアン!」
 そこにいた青年こそジュエールの恋人ブリリアンだったのだ。


 
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月夜の晩に君と踊ろう あとがき

「月夜の晩に君と踊ろう」のあとがき
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 もともとは交流サイトさんとやっていたリレー小説に登場させた脇キャラです。
 気に入っていたキャラなので本編からスピンオフ。「月夜の晩に君と踊ろう」は本来、その2作目に当たります。
 テンション上がって一晩で書き上げた即興作品。 
 自分じゃ、こんな話は書かないと思ってたんですけどね、やってみると書いてても楽しいし。
 もう何度か足りない言葉とか状況描写を(それとギャグ)随分加筆してます。 今回で5、6稿目(?)
 主人公の魔法使いのキーラさん、彼女には失恋ばっかさせてます。それで話が成り立つ感じをパターンにしてこう
かなと(本編でも片想い中)。
 「月夜の晩に君と踊ろう」というタイトルは書き始める前にふと頭に浮かんだものでストーリーに沿ってないかも…ってゆーか全然沿ってないです。月夜のシーンが少しある程度? 躍らせてないし。
 実は、なんか響きが気に入っただけなのです。そーゆーノリのタイトル多いです、自分。
 あ、それから登場人物の名前は実は、ある法則になってます。

 お姫様ジュエール(宝石)

 若者ブリリアン(宝石のカットスタイル)

 キーラの友だちの魔法使いクリスタル(水晶)

 別の創作しちゃった名前でもよかったんですが、どうせなら意味があった方が自分でも覚えやすいと思ったので。
 というわけで魔法使いキーラのお話はまだまだ書けると思います。
 新しいストーリーも生まれてますが、ひとつでも誰かの記憶に残りますように。
 
 delta(6_6)
 
 

ブラスター梅吉(1)

 高層ホテルの一室
 違法な薬物が持ち込まれ、今まさに買い手に引き渡されそうとしていた。
 が、その時だ!
 ドアが蹴破られ、銃を構えた警官たちが飛び込んできた。
「第7特機だ! 神妙にお縄につけ!」
 売人たちが銃に手を出すより先に先頭の警官がショットガンをぶっ放す。
 命中したベッドの枕が吹き飛び部屋中が羽毛だらけになった。
「次にこうなりたいのはどいつ!」
 そう言って警官は銃口を売人に突きつける。
 観念した売人たちは手を銃には回さず上に上げた。
「ちっ」
 警官は舌打ちする。抵抗しないのが物足りないようだ。
「ちょ、ちょっと、カスミさん。また器物破損させてー。上に起こられますよ?」
 後ろの若い警官が泣きそうな声で呼びかける。
「いいじゃない。ちょっとぐらい」
「そのちょっとが多いんですよ、カスミさんは。塵も積もれば山となってるんですよ、賠償請求が!」
 そのとき、別の警官がカスミを呼んだ。
「警部補、ドラッグが見つかりません」
 横で逮捕された男がにやりと笑う。
「こいつ……」
 眉をしかめるカスミだったがテーブルの上のカードキーに気がついた。
「1104号室のキー……この部屋のじゃないわね」
 カスミはキーを手に取ると逮捕した男に突きつけた。
「答えなさい。この部屋には誰がいるの?」
 男は無表情でそっぽを向いた。
「決まりね」
 カスミはにやりと笑うとショットガンを装填し直した。
「タスケとあと君たち。こいつらを連行して。後の者は私について来て」
「ちょっと、どうしたんですか? カスミさん」
「ドラッグはこっちの部屋にあるのよ。私たちの監視の対象外な誰かが持ち込んでるんだわ」
 武装した警官を数人引き連れたカスミは1104号室に向かった。



―1104号室―

 男がアタッシュケースを抱え、ふかふかのベッドに座り込んでいた。
「半日、預かりものをするだけでいい額をもらえたよな。おまけに豪華ホテルの宿泊。いい仕事だぜ」
 男はそうベッドの下に寝そべる白い影に言った。
「(しかし、少し話が旨すぎないか? 梅吉)」
 白い影はそう返す。
「馬鹿いえって! あんな清楚で可憐な女性が人をだますような真似するもんか! 俺はあのつぶらな瞳を信じる」
「(やれやれ……梅吉、もう少し思慮深さを持った方がいいぞ)」
「お前は用心深すぎなんだよ、バスカヴィル」
 そう言って梅吉はテレビをつけた。
 画面ではニュースキャスターが記事を読み上げている。
『今日未明、詐欺の容疑で逮捕された容疑者は、犯罪組織と深いかかわりがありドラッグの取引にも関与している可能性も……』
 映し出された容疑者の顔を見た梅吉は固まった。
「(おい、梅吉。あれ今回の依頼人じゃないのか?)」
「に、似てるな、ちょっと」
「(なんか詐欺の犯人だっていってるが)」
「ほ、ほう……」
 梅吉の顔が引きつる。
「(嫌な予感がするな)」
 そのときだ!
 突然、ドアが蹴破られた。
「動くな!」
 完全武装した数人の警官たちが部屋の中になだれ込んだ。
「第七特機だ! 神妙にお縄につけ!」
 ショットガンの銃口が梅吉の鼻先に突きつけられた。






 
 
 

 

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