真夜中の占い館で散歩
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ギャリー・トロット⑬(改)

#3、攻防戦


 麻季は誰かが自分を呼んでる様な気がしていた。
 見渡したがトルートたちは外の対応でこちらの方は構ってられないといった感じで麻季を呼んだ様子はない。
 こっそり隣のアンジェラを見やるが彼女の方はノートパソコンのキーをを忙しなく叩いている。呼びかけたのは彼女でもないらしい。
 後は誰もいないと思っていた部屋の隅。
 光も届かないそこは底なしの暗闇に見えた。麻季は、そこをじっと見つめてみた。

 麻季……

「え?」
「どうしたの? 麻季」
 気がついたアンジェラが声をかけてきた。
「聞こえませんでした? 今の」
「何が?」
 さっきの声はアンジェラには聞こえなかった様だ。
「い、いえ」
 麻季は暗闇を見つめ直した。
 闇を見つめていると何かがいる気がした。しかし、そんなに広くない部屋の中に自分たち以外の誰かがいれば他の者が気づくはずだろう。だが、誰もそんな素振りは見せていない。なのに……。
 その時、何かが闇の中で動いている様な気がした。
 麻季は立ち上がると何かに誘われるように部屋の隅の闇に歩み寄る。
 それにアンジェラが気がついた。
「どうしたの? 君」
 アンジェラの声は麻季には聞こえてこなかった。そのまま闇に入り込もうとする麻季。
「麻季!」
 アンジェラの声が響いた時、ようやく麻季は我に返る。
「あ……」
 その時だ!
 突然、闇の中から何かの手が伸び、麻季の手首を掴む!
 それは人間の手ではなかった。
 針金を巻いて造った様な不格好な手だ。
「え?」
 そして闇から姿を現したのは全身を針金や破片で覆った奇怪な人だった。
「きゃあああ!」
 麻季はパニックに陥り叫び声をあげた。
 その叫び声にカートドッグスの面々が一斉に振り向く。
 部屋の隅で麻季が震えていた。
「大丈夫、大丈夫よ」
 アンジェラが麻季を抱くと落ち着かせようとした。
 トルートがアサルトライフルを構えながらそばに来た。脅威が無いのを確認すると銃口を下げアンジェラに声をかける。
「何があった?」
「分からない。突然、パニックになって」
 トルートは少しかがむと麻季の顔を見た。
「どうしたんだ? 麻季」
 麻季は怯えたままだ。
 様子をうかがっていたスヴァローグ隊長は衛生担当のドクに麻季を診る様に指示した。
「よーし、もう大丈夫だよ。さあ、こっちを向いて」
 そう優しい口調で言いながらドクは麻季の顔を自分の方に向けるとペンライトで瞳を照らした。
「どうだ?」
 トルートがドクに聞いた。
「癲癇かもしれないが多分ヒステリーだ。心配ないだろう」
 ドクはポケットから錠剤を取り出すと麻季に手渡した。
「さあ、それを飲んで。少し楽になる」
 麻季は錠剤を口に入れると言う通り飲み込んだ。
「水だ」
 ドクは麻季に水筒を渡した。
「おい、ドク。おかしな薬じゃないよな。この娘は未成年なんだからな」
「心配ない、市販の鎮静剤だ。軽いやつだよ」
「ならいいけど」
「おい、トルート。お前、まるでこの子の保護者だな」
 トルートはその言葉に眉をしかめた。



 
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